2012 Fiscal Year Research-status Report
格子ボルツマン法とGPGPUを応用した高解像度局所海洋流動モデルの開発
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24656536
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
胡 長洪 九州大学, 応用力学研究所, 准教授 (20274532)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 海洋CCS / 格子ボルツマン法 / GPGPU |
Research Abstract |
海洋CCSに関わる要素環境評価技術である局所海洋流動・拡散モデルの開発を目的として、格子ボルツマン法(LBM)とGPGPU計算の応用に関する研究を行っている。今年度で得られた主な研究成果は以下にまとめる。 (1)従来のLBMでは、高レイノルズ数流れの数値計算が不安定になりやすい問題があり、それを解決するために、LES乱流モデルの導入とMRT衝突演算子の応用を実施した。 (2)物質拡散の計算について、従来のLBM拡散モデルでは、高レイノルズ数・高ペクレ数の問題に対して得られた拡散スカラー場にノイズが生じ、計算精度に問題がある。今年度は、Hybrid LBM/FVM(Finite Volume Method)法を開発してこの問題を解決した。この方法では、流れ場の計算にLBM、拡散場の計算にFVMを使用する。FVMの移流項計算にTVDスキームを応用している。自然対流問題に対して開発されたHybrid LBM/FVM法の精度検証を行い、従来のLBM拡散モデルより計算精度が顕著に改善されたことを確認した。 (3)開発されたGPUベースのLBMモデルを使って、CO2貯留池からの溶解と拡散、海底下地中貯留地から漏れたCO2液滴の上昇挙動に対する数値シミュレーションを行い、複雑海流条件下貯留池上方のCO2濃度の予測や、CO2液滴の変形と上昇スピードなどの特性を正確に再現することができている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初計画された格子ボルツマン法に適用するLESモデルの開発と物質拡散計算のためのHybrid LBM/FVM法の開発を完了した。さらに、当初の計画にはないが、開発・改良されたGPUベースのLBMモデルを使って、海洋CCSの環境評価に関わる応用問題であるCO2貯留池からの溶解と拡散と海底下地中貯留地から漏れたCO2液滴の上昇挙動に対する数値シミュレーションを行った。
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Strategy for Future Research Activity |
海洋ベースのCO2隔離技術に関する研究開発の関心はロンドン条約で認められている海底下貯留の方式になっている。この貯留方式に関わる重要な環境問題である海底下貯留されたCO2が海洋への漏洩に対する研究は今後ますます重要となっていく。従って、来年度の研究は、当初の計画を変更して、現在開発中のLBMモデルを使って海底下地中貯留地から漏れたCO2液滴の上昇と溶解について重点的に研究を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
GPUワークステーションを申請額より安価で購入したため、未使用額が生じました。次年度の研究費は主に研究成果発表のための旅費に充てる。
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