2013 Fiscal Year Annual Research Report
波形逆解析による表層地盤の不均質性の同定方法の開発
Project/Area Number |
24656539
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
山中 浩明 東京工業大学, 総合理工学研究科(研究院), 教授 (00212291)
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Keywords | 地盤工学 / 地震工学 / 物理探査 / 防災 / 地球観測 |
Research Abstract |
上下加振によるP-SV波場に上下振動波形を逆解析し,S波速度構造の不均質性を同定する手法を開発した。この方法は,差分法による波動計算およびハイブリッド逆解析法に基づいて推定するものであり,新しい同定方法である。表層地盤を模した数値実験データの逆解析を実施し,作成したプログラムの検証を行った。 つぎに,2つの実地盤での観測データに適用を行い,地下数mまでの表層地盤の不均質2次元モデルを同定した。ひとつは比較的不均質性の少ない地盤であり,S波検層結果と矛盾しない深度数mまでの表層地盤の2次元S波速度構造を推定できた。もうひとつは,東北地方太平洋沖地震の際に,大加速度が観測された宮城県築館市の強震観測点であり,加振実験による振動波形の逆解析から厚さ数mの表層地盤のS波速度に速度変化があることを見出した。さらに,得られた2次元地盤モデルを用いて地震動応答解析を実施し,表層のS波速度の不均質性が10Hz以上の高周波数帯域の増幅特性に影響があることを明らかにした。また,地表に起伏がある場合にも本手法を適用できるように逆解析プログラムを改良した。数値実験から,階段状の地形を有した宅地造成地盤や盛土による河川堤防のS波速度分布の推定への適用性が高いことを示した。 以上のように,模擬的な観測データを用いた数値実験と実地盤での観測データへの適用から,本手法が表層地盤の2次元不均質性の同定手法として十分な可能性を有していると考えられる。とくに,本手法では,10地点程度の観測点でも不均質なS波速度構造の推定ができ,従来の方法に比べて観測が容易となる点が利点である。しかし,計算時間が大幅に増加するが,現状の一般的なPCでも数時間で解析できる程度であり,研究だけでなく,実務的にも十分に使用可能であると考えられる。
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