2013 Fiscal Year Research-status Report
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24656541
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
陳 友晴 京都大学, エネルギー科学研究科, 助教 (80293926)
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Keywords | 岩石破砕 / 導電性セラミックス / グラウト |
Research Abstract |
現在、岩盤を掘削するには、主として発破を用いる方法と機械的な方法の2種が用いられているが、これらの手法は、影響領域の評価の難しさや発破・振動等による周辺環境への影響などの問題があり、対象サイトによってはより制御された岩盤開削技術が強く求められている。これらの問題を解決する手法の1つとして、高電圧を用いた岩石の破壊現象が研究されている。しかしながら、岩石の電気伝導性や通電経路を評価することは難しく、有効な手法には至っていない。 近年、セメント原料中の成分と同じ構造をもつ物質で導電性を付与されたセラミックス材料が発明された。そこで、これをグラウト材として岩盤中に圧入し、通電する経路をあらかじめ確定してから高電圧をかけることで、岩盤を制御下で破砕できるのではないかという着想に至った。本研究は、このような将来展望を見据えた材料の基礎物性研究であると同時にその材料を用いた新しい岩盤開削技術の開発をめざすものである。 助成期間中において、導電性のセラミックス材料を作製する技術を調査・応用し、導電性を有するセメント原料のより効率的な作製を試みるとともに、当該材料の導電性の時間変化および通電による温度変化について検討を行った。その結果、作製条件等を適当なものに調整することで、効率的に導電性のセラミックス材料を作製することが可能となった。また、この条件で作製した導電性セラミックス材料は、数ヶ月という時間内では顕著な導電性の低下は認められないことが明らかとなった。研究の次の段階に必要となる材料について、おおむね良好な開発結果が得られているものと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
導電性のセラミックス材料を作製する技術を適用し、導電性を有するセメント原料の作製を試み、当該材料の導電性の時間変化について検討を行う実験について、作製条件等を調整することで、効率的に導電性のセラミックス材料を作製することが可能となり、この条件で作製した導電性材料が、数ヶ月間という時間では顕著な導電性の低下を示さないことを明らかにした。そこで、この材料を用いて研究の次の段階に必要となる導電性を有するグラウト材料を作成する方法について、検討を行っている。 なお、助成期間を延長し、岩石破砕の実証試験を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
助成期間を1年延長し、より確実な研究成果の確立を目指す。具体的には、製造したセメント原料(グラウト材料)を岩石試料(実験室内用サンプル)へ圧入し、試料の導電性の計測を行い、高電圧破砕への適用可能性を検討することとする。また、実際に高電圧破砕を行うことが可能かどうかを慎重に検討し、安全に配慮しながら、実証試験を試みることとする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度に、実験によって新たに作製した導電性セメント材料によって岩石の破砕実験を行う予定であったが、これを行わなかったことによって未使用額が生じた。これは、実験上の工夫により当初想定していたよりも導電性に関して劣化しにくい材料が作製できるようになったことから、本年度はその性能の確認と材料作製にあて、次年度に予定よりも少し規模の大きい破砕実験を行うことが実験上有効であると判断したからである。 未使用額は、追加で行う導電性セメント材料の作製及び作製した材料を用いた岩石破砕実験、また、その研究成果を発表することにあてる。
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