2012 Fiscal Year Research-status Report
光ファイバー温度計を用いたメタンハイドレート層の熱物性現位置評価法の開発
Project/Area Number |
24656543
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
藤井 光 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80332526)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 地中熱利用 / メタンハイドレート / サーマルレスポンス試験 / 熱伝導率 |
Research Abstract |
1. 地層水の凍結を伴わないサーマルレスポンス試験(TRT)の実施 青森県黒石市に深度80mの試験井を掘削し,地中熱交換器の本数および熱負荷を変更して計4回のTRTを実施した。同試験井でヒーターで造成した温水を試験井内に循環し,光ファイバー温度計を用いて試験井内の温度プロファイルを計測した。温水の循環は2日間継続し,循環停止後は地層における温度回復を5日間モニタリングした。 2. TRTの解析 TRTにおいて計測された熱交換井出入り口温度,熱媒体流量,光ファイバー温度計より得られた温度プロファイルデータを用いて,坑井周辺地層の熱伝導率分布を推定した。推定では地層を深度方向に細分割し,それぞれの分割された要素に円筒型熱源関数(円筒型の熱源からの発熱に基づいて熱伝導をあらわす解析解)を適用して,TRT挙動を再現する複数層モデルを構築した。熱伝導率は地層温度プロファイルの測定値と計算値の残差二乗和が最小となるように非線形回帰法を用いて推定した。そして,同地の地質状図との比較により,光ファイバー温度計を用いたTRTの有効性を確認した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H24年度においては予定していたTRTを順調に実施でき,またその解析における制度が確認できたので研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
1.地層水の凍結を伴うサーマルレスポンス試験の実施 前年度の成果を踏まえて,H25-26年度は本研究の目的である地盤の凍結を伴うTRTを実施する予定である。熱交換井に循環する熱媒体をエチレングリコール30%水溶液(凍結温度-17℃)に置換し,ヒートポンプを用いて-10℃の循環水を作成する。熱交換井内に-10℃の熱媒体を100日間程度循環し,坑井周辺の地層水を凍結させる(線源理論を用いた試算によると100日間の冷却による凍結範囲は坑井中心より約0.5m)。冷却期間中は光ファイバー温度計を用いて坑井内の温度分布をモニタリングし,地層内の凍結状況を推定する。地層水が十分に凍結したことが確認された後,0℃の熱媒体を循環して前年度と同様のTRTを実施する。循環期間は周辺地層からの熱流入による温度回復の影響を受けない5日間程度とする。 2.TRTデータの解析による熱伝導率分布の推定 前年度と同様に光ファイバー温度計より得られた温度プロファイルデータを用いて,坑井周辺地層の熱伝導率分布を推定する。地層水が凍結した状況では岩石の見かけ熱伝導率が改善されるため,採取したコアを水飽和・冷凍した後に熱伝導率計を用いて熱伝導率を測定し,TRT解析結果と比較する。地層のモデリングでは,凍結状況により半径方向に熱伝導率が変化するため,Composite型の解析解または有限差分法を用いた数値モデリングを用いる。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H25年度の研究費は主に熱交換井の改修作業と熱媒体の冷却装置の購入に充当する予定である。
|
Research Products
(10 results)