2012 Fiscal Year Research-status Report
ホール素子を用いた高温・高圧流体の粘度測定センサーの開発
Project/Area Number |
24656544
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
佐々木 久郎 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60178639)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅井 裕一 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (70333862)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 資源開発 / 原油 / 粘度 / ホール素子 / 落体法 |
Research Abstract |
平成24年度の研究実施内容として,高圧セルのセル長,磁石の直径などの基本的な装置の要素設計と実験用の測定装置を完成させ,ホール素子による落体の検出感度とそれによる流体粘度の測定精度について実験的に研究を実施した。 本研究では,粘度と落下物体の落下時間が比例することから落下物体の落下時間を測定する落体法を応用した粘度測定装置とシステムを独自に製作した。とくに,コイルに一定電流を流すことで磁場を発生させ,管内の流体中をサマリウムコバルト磁石が上昇・落下するプロセスを自動化した計測システムを構築した。とくに,一定時間経った後にコイルに流れる電流がオフにすることで,磁石が自由落下し,測定セル底面に設置されたホール素子によって磁場の変化から磁石の位置が精度良く測定できるように工夫した。水及び6種類の標準粘度液における磁石の落下時間をセンサーコイルとホール素子を用いてそれぞれ計測し,粘度の測定精度の比較を実施した。センサーコイルを用いた場合は,出力電圧はコイルを貫く磁束の時間変化に比例することから,流体サンプルの粘度が高いとき磁石は低速で落下するため,ピーク電圧は小さくなり,誤差が大きくなる結果が得られた。これはセンサーであるコイル出力が時間変化に比例するため,流体サンプルの粘度が高くなると磁石の速度が小さくなることで,センサーコイルに発生する誘導起電力のピーク値がノイズに埋もれることが主な理由であることがわかった。一方,時間変化に依存しないセンサーとしてホール素子を用いた場合は,同様の粘度が高い測定条件において磁石が低速で落下したとしても検出が確実に出力されることで測定された落下時間は粘度に対して比例することを確認することができた。この結果から,ホール素子を応用した落下時間の測定によって,流体粘度をある程度の精度で測定できることを実証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成24年度は、粘度測定圧力セルの構造、セル長や内径、さらには磁石の直径などの測定装置の要素などを確定し、プロトタイプの実験装置を完成させた。また、実施予定としていた粘度の測定精度の検証実験を行った。その結果、磁石の落下時間の計測精度に対して、センサーコイルとホール素子の2つを用いた測定方法について比較した結果、ホール素子の特性を利用した測定システムの有効性を実証することができ、次年度に予定している実証用の小型化したセンサーの試作に繋がる成果が得られた。しかしながら、平成24年度に特許出願等を目標としていたが、出願ができなかったことと、それに伴って成果発表も実施しなかったことが、研究計画がやや遅れていると評価した理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度の成果に基づき、粘度測定システムをコンパクトにまとめることで小型化した検出器の製作を試みる。また,高圧セル装置に装填することで,高温高圧下におけるガス溶解系原油の粘度測定を実施予定である。さらに,従来法による測定結果との比較から本粘度センサーの適用性と性能の評価を実施する。 次年度は最終年度であることから、報告書のとりまとめを実施する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費として、小型化した検出器の製作費、CO2ガスや試料原油などの消耗品費、実験補助に対する謝金および成果発表のための旅費などの支出を予定している。
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