2013 Fiscal Year Research-status Report
二酸化炭素直接還元炭素資源再生による再生可能エネルギーの負荷平準化
Project/Area Number |
24656550
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
加藤 之貴 東京工業大学, 原子炉工学研究所, 准教授 (20233827)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
劉 醇一 東京工業大学, 原子炉工学研究所, 助教 (70376937)
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Keywords | 二酸化炭素 / 電気分解 / 電気分解セル / 一酸化炭素 / 炭素資源再生 |
Research Abstract |
二酸化炭素(CO2)電気分解セルを製作しCO2電気分解の実証を行った。熱力学上有利な800℃以上での高温で電気分解を行った。目的のセルは固体酸化物燃料電池(SOFC)と同様の構成をとり、SOFCと逆の電解をかけて電気分解を行った。カソード極向けのCO2分解触媒と酸素伝導粒子を混合した粒子を調製し、逆電解を与えCO2を還元した。電解質には円筒形のイットリア安定化ジルコニア(YSZ)を用いた。 今年度は高価なPtを使用しないセル構成を検討しNi-LSM|YSZ|LSM-YSZ およびNi-YSZ|YSZ|LSM-YSZの構成を持つSOECを作成し反応性を実験的に検討した。Ni-LSM系セルでは900℃、2.0 Vにおいて電気分解でCO生成速度が0.83 μmol min-1 cm-2 と向上しPt-LSM系の同条件での値より優れた性能を示した。また、酸素生成速度は0.43 μmol/min∙cm2であり、CO:酸素生成比がほぼ1:0.5となり、Faraday則に応じて化学量論的に電気分解が進むことを確認した。 Ni-YSZ系は反応性向上のため材料の高温加熱を必要とし無い機械混合手法を利用した。カソード触媒向けに酸化ニッケル粉とYSZ粉をボールミルにて機械混合した、同様にアノード触媒向けにLSM粉とYSZ粉を機械混合し、それぞれを用いてSOECを作成した。800℃の条件下においてNi-YSZ系、Ni-LSM系のCO生成速度がそれぞれ0.27, 0.21 μmol min-1 cm-2で、前者が比較的高い反応活性を示した。また前者は250時間の連続試験でも反応活性、結晶構造に大きな変化が見られず安定しており、機械混合が高温加熱に代替できる可能性を示した。以上から本研究目的であるCO2の再資源化、再生可能エネルギーの負荷平準化への貢献性に必要な実験データが得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
二酸化炭素(CO2)電気分解セルを製作しCO2電気分解の実証を行った。熱力学上有利な800℃以上での高温で電気分解を行った。目的のセルは固体酸化物燃料電池(SOFC)と同様の構成をとり、SOFCと逆の電解をかけて電気分解を行った。電気炉にて反応部を800~900℃の範囲で目標温度に加熱保温し、電気分解のためにポテンショスタット/ガルバノスタットにて電圧を設定し電流量を測定した。生成ガスをガスクロマログラフで分析した。 高価なPtを使用しないセル構成を検討しNi-LSM|YSZ|LSM-YSZ およびNi-YSZ|YSZ|LSM-YSZの構成を持つSOECを作成し反応性を実験的に検討した。Ni-LSM系セルでは900℃、2.0 Vにおいて電気分解でCO生成速度が0.83 μmol min-1 cm-2 と向上しPt-LSM系の同条件での値より優れた性能を示した。高価なPtを利用の省略が可能であることを示し、実用性をより高めた。以上から目的のCO2の再資源化の可能性を実験的に実証し、反応動力学的知見をえることができた。よって、おおむね順調に進展していると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
二酸化炭素(CO2)電気分解セルの材料調製の最適化を進め、CO2再資源化の高度化を進める。成果をもとに、本研究目的であるCO2の再資源化、再生可能エネルギーの負荷平準化への貢献性を評価する。目的のセルは固体酸化物燃料電池(SOFC)と同様の構成をとり、SOFCと逆の電解をかけて電気分解を行う。カソード極向けのCO2分解触媒と酸素伝導粒子を混合した粒子を調製し、逆電解を与えCO2を還元した。電解質には円筒形のイットリア安定化ジルコニア(YSZ)を用いる。カソード向けの混合物触媒粒子の混合比の最適化をすすめる。一方で円筒内面アノード極としカソード極も同じく触媒混合比の最適化を進める。反応条件の最適化が合わせて必要であるので800-900℃程度に反応温度を広げて反応性の検討を進める。あわせて導入ガスのCO2分圧の影響を検討する。また、長時間反応耐久性を検討する。これらの触媒、反応条件変化の中での反応性評価を進め化学動力学的検討を進める。得られた最適材料の結果をもとに本研究目的であるCO2の再資源化、再生可能エネルギーの負荷平準化への貢献性を明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
目標の二酸化炭素(CO2)電気分解セル作成にはカソード層、およびアノード層の触媒材料の選択が重要である。平成25年度はいつくかの触媒の評価を予定して触媒購入の予算を計上した。先ずNi-LSM|YSZ|LSM-YSZ およびNi-YSZ|YSZ|LSM-YSZ 系の電解セル構成が候補であり、この触媒活性の検討を進めた。しかしながら当初の混合比での触媒材料の反応速度論的な評価、反応性実証を確実に進めるために研究時間を要した。その他の混合比の触媒候補を用いた材料の最適化検討を次年度以後に行うこととした。このため、H25年度予算に材料購入費に未使用分が発生したので、次年度に活用することとした。 平成26年度は二酸化炭素(CO2)電気分解セルの触媒を種々調製・準備し触媒材料の最適化を進める。そのための触媒購入に研究費を用いる。また、長時間実験にむけての装置の自動記録化を進めるために研究費を用いる。カソード極にはH25年の検討で候補として見出したCO2分解触媒と酸素伝導の機能を有したNi-LSM|YSZ|LSM-YSZ およびNi-YSZ|YSZ|LSM-YSZ 系セルについて種々の触媒混合比の材料を用い検討を行いセル触媒材料の最適化をすすめる。同様にアノード極も同じく触媒混合比の最適化を進める。これらの最適化に向けて種々のセル材料の購入に予算を活用する。また、長時間耐久性試験のデータ記録のための設備を整え、反応状況を記録する。
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Research Products
(5 results)