2012 Fiscal Year Research-status Report
無電解ニッケルめっき廃液からのニッケルろう剤製造法の開発
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24656552
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Oyama National College of Technology |
Principal Investigator |
森下 佳代子 小山工業高等専門学校, 一般科, 准教授 (50344924)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 金属リサイクル / ニッケル / 微粒子 |
Research Abstract |
ステンレスの接合に用いられるニッケルろう剤は高価である。接合プロセスの低コスト化を図るには、①安価なろう剤を用いること、②少量のろう剤で接合を可能にすること、および③低温での接合を実現することの3点が挙げられる。そこで本研究では、安価なニッケルろう剤製造法の開発を目的として、廃棄物である無電解ニッケルめっき廃液および未活用資源である褐炭を利用したニッケルろう剤製造について検討することとした。 平成24年度の実施計画は、①無電解ニッケルめっき廃液からニッケルを回収する技術の開発と、②ニッケル微粒子好適製造条件を探索することであった。 前者については、アンモニアを用いて塩基性雰囲気に調製した無電解ニッケルめっき廃液中に褐炭を浸漬することにより、褐炭中の含酸素官能基にニッケルがイオン交換され、廃液中のニッケルを回収できることが確認できた。ニッケル回収にはpH=11程度が望ましく浸漬時間30分~1時間でほぼイオン交換が進行することがわかった。また、無電解ニッケルめっき廃液中に共存する亜リン酸イオンがイオン交換を阻害することが明らかになった。イオン交換阻害を抑制することを目的として、カルシウム化合物添加による亜リン酸イオン除去について検討したところ、ニッケル回収率が向上した。 後者のニッケル微粒子好適製造条件探索については、安定的に調製可能な試薬を用いてニッケル担持褐炭を調製し、種々条件下で熱分解およびガス化することにより微粒子製造の好適条件を検討した。ニッケル担持率が高い場合、ニッケル微粒子が合一成長しやすいため、微粒子径が大きくなりやすく、かつ、粒子径分布が幅広くなることがわかった。炭素転化率が高くなるのに伴って微粒子径が著しく大きくなり、担体である炭素が消失すると合一成長しやすいことが確認できた。ニッケル担持率、ガス化温度、ガス化時間を系統的に検討する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の研究実施計画は大きく2つの課題であった。このうち、無電解ニッケルめっき廃液から褐炭を用いてニッケルを回収する技術の開発については、回収可能であることを明らかにするとともに、おおよその最適条件が明らかになった。また、検討過程において発生したイオン交換阻害の影響についても、その抑制方法を明らかにした。効率等を検討するうえで、もう少し細部のデータをまとめる必要があるが、概ね目標は達成できたものと考える。また、ニッケル微粒子製造好適条件の探索については、生成した微粒子径に対するニッケル担持濃度、ガス化温度、およびガス化時間それぞれが及ぼす影響についてその傾向が確認できた。その基礎データを基に、平成25年度は系統的な検討に入ることができる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、平成24年度に引き続いてニッケル微粒子製造好適条件探索を実施するとともに、主に、拡散接合実験を実施する。まず、拡散接合のための基礎物性を把握することを目的として、各種試料の溶融挙動を観察する。金属試験片上に、ニッケル微粒子を塗布したものを、酸化ガス気流中、不活性ガス気流中、還元ガス気流中において、それぞれ数百~1,000℃で加熱し、実験後試料の微粒子の状態を走査型電子顕微鏡で観察することにより、溶融挙動を検討し、拡散接合に適した反応条件を模索する。 拡散接合実験は、研究協力者保有の試験炉を用い、基礎実験に基づいて設定された実験条件について実施する。接合実験結果については、接合試験片の接合部分の電子顕微鏡観察および化学組成分析(FE-SEM/EDX)により評価する。また、接合試験片の接合強度の評価方法を調査し、該研究の試験片に適した接合強度試験方法を確立し、前述の接合実験で得られた試験片の強度を測定する。 接合実験結果と、平成24年度実施のニッケル微粒子製造好適条件探索の結果を総合的に判断し、ニッケルろう剤を目的としたニッケル微粒子最適製造条件の絞りこみを行う。特に、着目するポイントとしては、粒子径分布と化学組成が接合に及ぼす影響である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(1 results)