2013 Fiscal Year Research-status Report
無電解ニッケルめっき廃液からのニッケルろう剤製造法の開発
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24656552
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Research Institution | Oyama National College of Technology |
Principal Investigator |
森下 佳代子 小山工業高等専門学校, 一般科, 准教授 (50344924)
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Keywords | 金属リサイクル / ニッケル / 微粒子 / 接合 |
Research Abstract |
本研究は、安価なニッケルろう剤製造法の開発を目的として、廃棄物である無電解ニッケルめっき廃液および未活用資源である褐炭を利用したニッケルろう剤製造について検討することである。昨年度までに、褐炭を利用して無電解ニッケルめっき廃液からニッケルを回収するための好適条件を明らかにしてきた。平成25年度は、①ニッケル微粒子好適製造条件を探索すること、および②拡散接合実験の基礎的検討を実施することにした。 前者については、無電解ニッケルめっき廃液に褐炭を含浸することにより調製したニッケル担持褐炭を種々条件下でガス化することにより微粒子を製造し、微粒子製造の好適条件を探索した。検討因子は、ニッケル担持率、ガス化温度、反応ガス種である。水蒸気ガス化においては、反応後期まで未燃炭素が残存し、最終的には燃焼が必要であることがわかった。しかしながら、未燃分の存在により微粒子径の増大が抑制されること、また未燃分がわずかであるためごく短時間の燃焼で済み、燃焼後も粒子径の著しく変化しないことが確認された。一方、酸素ガス化の場合、発熱反応であるためヒートスポットが形成し、微粒子径が著しく増大することが確認された。また、ガス化温度および担持率について、本実験条件範囲においては、ガス化温度750℃程度、担持率数%程度が好適であることが確認された。 拡散接合の基礎的検討として、まず、微粒子のサイズ効果を検討するために、酸処理した褐炭より調製したニッケル担持炭をガス化して得られた酸化ニッケル微粒子を水素雰囲気下で加熱したところ、ニッケルのバルクの融点が1455℃であるのに対し、本実験で製造したニッケル微粒子は800℃で5分加熱しただけで完全に溶融することがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ニッケル微粒子製造のための好適条件の探索については、平成25年度までにほぼ終了しており、無電解ニッケルめっき廃液から褐炭にニッケルを濃縮する方法、および褐炭に濃縮したニッケルをニッケル酸化物として回収する方法についての一連のプロセスがほぼ決定した。拡散接合については、試料の物性測定が難航していたため、実際に接合するにはいたっていない。しかしながら、昨年度末に、基材上に静置した試料を基材ごと加熱する方法により、粒子としての融点を測定する方法が確立できたので、平成26年度は、回収試料の物性評価を実施するとともに、接合実験に取り組む。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、平成25年度に引き続いて拡散接合実験を実施する。まず、拡散接合のための基礎物性を把握することを目的として、各種試料の溶融挙動を観察する。金属試験片上に、ニッケル微粒子を塗布したものを、加熱し、実験後試料の状態を走査型電子顕微鏡で観察することにより、溶融挙動を検討し、拡散接合に適した反応条件を模索する。検討因子は、雰囲気ガス種、加熱温度、加熱時間とする。また、拡散接合実験は、基礎実験に基づいて設定された実験条件について実施する。接合実験結果については、接合試験片の接合部分の電子顕微鏡観察および化学組成分析(FE-SEM/EDX)により評価する。接合実験結果と、平成25年度実施のニッケル微粒子製造好適条件探索の結果を総合的に判断し、ニッケルろう剤を目的としたニッケル微粒子最適製造条件を決定する。特に、着目するポイントとしては、粒子径分布と化学組成が接合に及ぼす影響である。併せて、平成25年度に得られた試料の電子顕微鏡画像を解析することにより微粒子成長モデルの構築を行う。
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