2012 Fiscal Year Research-status Report
高エネルギーイオン励起不安定性を介したバルクイオン加熱の実験的検討
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24656561
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Research Institution | National Institute for Fusion Science |
Principal Investigator |
長壁 正樹 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 准教授 (90280601)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 昭博 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 助教 (00390633)
井戸 毅 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 准教授 (50332185)
徳沢 季彦 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 准教授 (90311208)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | GAM / fast ion / alpha channeling |
Research Abstract |
本研究は、LHDにおいて高速イオンによって励起される周波数が上方(高周波側)に掃引されるトロイダルモード数のゼロの不安定性と、それの発生に伴って観測されている低エネルギーの中性粒子束の変動の振る舞いについて調べている。この不安定性は、測地線音響モード(Geodesic Acoustic Mode:GAM)であると推測されていた。しかしながら、不安定性の電子温度(Te)依存性に着目すると、通常の理論的に予測されるGAMと同質でTeの0.5乗に比例するものと、それとは異なり、電子温度には依存せず、プラズマ中を周回する高速イオンのポロイダル周回周波数と同じになるものが観測されていた。このモードは、プラズマの中心部において発生するのに対して、これまでの観測はプラズマ周辺部に配置したピックアップコイルを用いていたため、周波数が変動し、かつ揺動強度が小さい初期の周波数を正確に把握していない懸念があった。そこで、今年度はプラズマ中心部での周波数を正確に把握する為に、マイクロ波干渉計を用いた揺動計測システムを、既設計測システムを改造することで構築した。この結果、ピックアップコイルによる揺動初期の周波数計測が、きちんとプラズマ中心部の情報を反映していることがわかった。また、これと並行して高速イオン励起GAM不安定性の周波数に関する理論的な考察を進め、高速イオンのエネルギー分布関数が正の勾配を持つ場合においては、その周波数の電子温度依存性がなくなり、高速イオンのポロイダル周回周波数によって決まり得ることも明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していたとおりに、ピックアップコイルを用いたプラズマ周辺部における磁場揺動計測と、マイクロ波干渉計によるプラズマ中心部における密度揺動計測を同時に行うことに成功し、観測対象としているプラズマ揺動に対して、その周波数に差異が存在しないことを明らかにすることが出来たため。
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Strategy for Future Research Activity |
今回整備したプラズマ中心部における密度揺動計測システムと、重イオンビームプローブ(Heavy Ion Beam Probe:HIBP)計測による静電ポテンシャル及び密度揺動計測を組み合わせて、揺動の径方向分布計測を試み、その構造の解明を目指す。また、磁場揺動計測についても、これまではポロイダル方向の磁場揺動のみの計測を行っていたが、今年度より径方向の磁場揺動計測を行い、磁場揺動成分の空間構造の解明を目指す。 これらの計測と、低エネルギー領域の中性粒子計測によるバルクイオン計測を併用し、本研究で対象としている不安定性が発生している際に、バルクイオンの振る舞いに注目する。不安定性励起に伴って、バルクイオンの応答がみられる時のモード構造の相関を明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度の研究費を次年度の研究費と組み合わせ、磁場揺動のポロイダルモード構造を明らかにする為の計測システムの増強を行う。通常は、磁場揺動のポロイダル成分(δB_θ)のみを計測していたが、次年度では、磁場揺動の径方向成分(δB_r)を計測する。LHDにおいては、ピックアップコイルそのものは既に、δB_r成分が計測出来るようになっていたが、アナログデジタル信号変換器が不足していた為、計測されていなかった。そこで、同信号の計測が可能なようにする為に、本研究費を用いて信号変換器を購入する。 また、これと並行してHIBP装置の改造を行い、計測システムの感度向上を目指す。
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Research Products
(2 results)