2014 Fiscal Year Research-status Report
被ばく歴を考慮した実効線量制限値設定システムの開発に関する研究
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24656562
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
樽澤 孝悦 弘前大学, 保健学研究科, 講師 (90125451)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 実効線量限度 / 被ばく制限値 / 生涯リスク |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は放射線作業者の被ばく歴から生涯リスクの計算プログラムを作成し、現在の被ばく限度の新たな運用・制限方法を研究することを目的とする。被ばく時年齢及び過去の被ばく線量から生涯のリスクを考慮し、個々の作業者ごとに適用すべき実効線量限度の制限値を算出する試みは、緊急作業や事故時の被ばくに際して、被ばくに係る生涯リスクを変えることなく合理的に新たな制限値を設定できるなど、現在の被ばく線量の法規制を補強できる方法である。即ち、緊急作業の作業者や不慮の被ばく等により実効線量限度を超えた作業者に対しても、一律に放射線作業を禁じる措置を課す前に、将来分の実効線量限度に制限値の適用の可能性を探ることにより、被ばく限度超過による長期間の就労不可の問題や被ばく線量に余裕のない高い技能を持つ技術者の確保の問題等の解決の一助になると考える。このための現在までの成果として、次の論文を発表した。 「被ばく歴を考慮した実効線量限度の制限設定に関する研究」樽澤孝悦 他,保健学研究5,57-65,2015. なお、リスク計算グログラムの設計変更等により遅れていた作業実施のため、科学研究費助成事業の補助事業期間の延長のを申請し、承認を得た。(学振助一第718号 平成27年3月20日)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
計算プログラムの設計変更等により、研究は当初の予定より遅れている。プログラムの作成が予想外に手間取り、平成24年度分が平成25年に、平成25年度以降分が平成26年度に玉突き状態で繰り延べとなったのが遅れの原因である。現在、科学研究費助成事業(学術研究助成基金助成金)補助事業期間延長申請をし、承認を得ることができ(学振助一第718号 平成27年3月20日)遅れを取り戻している最中である。なお、現在まで達成している研究成果は次の通りである。 (1) 基礎データの収集・解析が進み、モデル計算と検証の段階に進んでいる。 (2) 計算プログラムの一部を用いて ICRP Pub.60 の基礎データを用い、被ばくモデルについて制限値の計算を行い、得られた知見を次の論文として発表した。 「被ばく歴を考慮した実効線量限度の制限設定に関する研究」樽澤孝悦 他,保健学研究5,57-65,2015.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進は、補助事業期間の一年間延長を利用して、平成26年度の遅れを取り戻すため次の方策をとる。 (1) ICRP Pub.60 後の新たな知見が盛り込まれたUNSCEAR (United Nations Scientific Committee on the Effects of Atomic Radiation) 2006年報告書やPub.103 等に示されている基礎データを用いたリスクの算定及び制限値の算出を試みる。 (2) 算出した制限値の有効性及び法的適合性について、専門家を招聘してして意見を伺い検証する。 (3) 研究結果は論文として投稿する。
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Causes of Carryover |
研究の遅れに伴い、消耗品購入や専門家招聘等の実施が出来なかったため、残金が生じている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成26年度までの未使用額の次年度の使用計画は次の通りとする。 ○物品費(400,000円)○旅費(200,000円)○人件費・謝金(150,000円)○その他(50,000円)
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