2012 Fiscal Year Research-status Report
メカノケミカル法を用いたデブリ燃料処理法の基礎研究
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24656564
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 修彰 東北大学, 多元物質科学研究所, 准教授 (70154078)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 核燃料 / 燃料デブリ / 硫化処理 / 原子炉事故 / メカノケミカル |
Research Abstract |
デブリ燃料の主成分であるウラン酸化物と金属成分について、不活性ガス雰囲気においてジルコニア製ポットにウラン酸化物と所定量の金属成分(SUSあるいはジルカロイ)の粉末をジルコニアボールとともに入れる。次にこれを購入備品である遊星ミルにセットし、所定時間メカノケミカル処理を行った。反応後、粉末XRDにより生成物の相関係を調べた。また、二硫化炭素を添加して同様の処理を行い、デブリ燃料のメカノケミカル処理の効果についても調べた。続いて、硫化処理後の模擬試料について、ポット内に所定量の1M硝酸を添加し、ポットをゆっくり回転させて、溶解処理を行った。溶解後、残渣および溶液を分離し、溶液中の金属量をICP発光分析により求め、溶解率を求めた。溶解時間および酸濃度を変えて同様の実験を行い、酸溶解処理による燃料成分および金属成分の分離挙動について調べ、酸化物より、硫化により、溶解率が高まることが分かった。 また、希土類酸化物とCS2との反応について、現有の熱力学的計算ソフトを用いて自由エネルギー等を計算し、希土類元素間における反応生成物や反応挙動の相違について熱力学的に解析し、メカノケミカル処理の効果について検討した。 さらに燃料成分であるウラン酸化物について、上記と同様にメカノケミカル処理を行った。反応後、粉末XRDにより生成物の相関係を調べる。反応時間、回転数、CS2量を変えて同様の実験を行い、メカノケミカル処理によるウラン酸化物の硫化挙動について検討する。ここでは、特に、二酸化ウラン(UO2)八酸化三ウラン(U3O8)および三酸化ウラン(UO3)といった酸化ウランの状態の違いによる硫化挙動について明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究遂行にあたって不可欠な備品、遊星ボールミルを購入し、核燃料を模擬した試料すなわち、ウランおよび希土類元素等の核分裂生成物の酸化物粉末を硫化剤である二硫化炭素とともに容器に混合、密閉することにより、不活性雰囲気でのメカノケミカル反応を行い、硫黄ならびに金属元素の酸化を抑制しながら反応実験を行うことができることを明らかにした。その後、希土類酸化物およびウラン酸化物の間において、二硫化炭素との反応性の違いが分かり、これは熱力学的検討の結果とも一致していた。これらのことから、熱力学的検討により、硫化挙動を予測し、効果的に実験を行い、有意義なデータを取得することができたからである。
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Strategy for Future Research Activity |
福島第一原子力発電所事故により発生したデブリ燃料中には 主燃料成分であるウラン酸化物のほかに、ジルカロイ被覆管、SUS配管の他、金属成分の酸化物が少量生成している。また、燃料成分としてのプルトニウムの情報を得るため、模擬物質として二酸化セリウム(CeO2)を使用して、上記ウラン酸化物の場合と同様のメカノケミカル処理を行う。処理条件と生成物の相関係との結果から、プルトニウムの硫化挙動について検討する。 ウラン酸化物やプルトニウム酸化物とCS2との反応について、熱力学的計算ソフトを用いて自由エネルギー等を計算し、ウランおよびプルトニウムの反応生成物や反応挙動について熱力学的に解析し、メカノケミカル処理の効果について検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H25年度は備品は購入せず,消耗品費,国内旅費,国際会議での成果発表のための外国旅費および論文投稿料に使用する。また、最終年度であり、報告書印刷費として使用する。
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Research Products
(1 results)