2012 Fiscal Year Research-status Report
倒置・超短時間レーザフラッシュ法による放射性物質固化用ガラス融体の熱伝導率の研究
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24656565
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
太田 弘道 茨城大学, 工学部, 教授 (70168946)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ガラス固化 / 熱浸透率 / 融体物性 / 高温融体 / 珪酸塩 / 硼珪酸塩 / バックエンド / 放射性廃棄物 |
Research Abstract |
減容化、安定化の効果が大きいガラス固化により放射性廃棄物を固定化して廃棄することが検討されている。ガラス固化体製造用の溶融炉の安定制御のためにはその物性値が不可欠である。本研究は高放射性廃棄物ガラス固化体に用いられる融体(以下廃棄物固化用ガラス)の熱伝導率を測定しこのデータをもとに組成と熱伝導率の関係を明らかにすることを目的とする。 本研究では、高温の酸化物系融体の熱伝導率計測として熱放射の影響や試料の電気的性質に関わらず正確な測定が可能である、研究代表者らの開発した倒置・超短時間レーザフラッシュ法により廃棄物固化用ガラスの熱浸透率(熱伝導率の平方根に密度と比熱を掛けた値)を測定した。この手法はごく薄い底面をもつ白金セルの底面にレーザパルスを照射しその後の底面の温度変化をパルス照射後10ms程度のごく短時間領域で赤外線による温度計測を行うことにより融体の熱浸透率を測定するという簡単な方法により、1800K程度の温度まで正確に測定を行うことが可能である。 本年度は廃棄物固化ガラスの模擬ガラスを測定した。組成は重量%でAl2O3 5、B2O3 14 CaO 3 CeO2 1 Cs2O 1 Gd2O3 1 Li2O 3 MoO3 1 Na2O 3 Nd2O3 2 SiO2 48 ZnO 3 ZrO2 1 、残部は酸化物換算で15%のAg, B, Co, Cr(三価), Fe, K, La, Mn, Ni, P, Pd, Pr, Sr, Rh, Ru, Te, Y, Sm を含む試料を測定した。操業に影響を与えるジブチルリン酸の濃度を5000 ppmまで変えて測定した。1000K~1400Kの範囲で熱浸透率は2.5×10~3 [W s~(0.5) /m~2 K] 程度の値となり組成依存性、温度依存性とも小さいことが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験を問題なく実施し、実装業で使用されている組成の近似組成の試料の測定を行った。また、ホウケイ酸塩ガラスの理論の基礎としてケイ酸塩ガラスの熱伝導率の測定を行い、組成に基づき計算されるネットワーク構造と熱伝導率の関係の理論を構築しつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は実装業の組成に近い複雑な組成の系を選び測定を行ったが、今後は理論的な検討を行えるように単純な組成の系の測定を実施し、構造との関係に着目した実験を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
温度計測のための赤外線検出器に使用する液体窒素、試料調整のための薬品、試料調整や試料セルのために高温で用いる白金の部品、国際学会における発表のための旅費、測定結果を数値計算により処理するためのソフトウエアのライセンス費用などを計画している。
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