2013 Fiscal Year Research-status Report
超臨界二酸化炭素によって増強される水相二相系での液液抽出プロセスの創成
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24656569
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
榎田 洋一 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40168795)
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Keywords | 液液抽出 |
Research Abstract |
(1) 金属化学種に対する水相2相間の物質移動係数評価(物質移動係数評価) 物質移動係数の測定自体は【現在までの達成度】の項目に記載するような状況(装置故障)により未達成である.このため,可能な代替措置として,大きな物質移動を実現するために重要な水相2相系における液液抽出時の液液界面積の定量を2液界面聴力測定による理論計算と実測に基づき評価するとともに,液液抽出装置での分相特性を無次元分散数として定量的に評価することに成功し,実用抽出装置への適用性を明らかにした.研究実績について,平成26年5月に欧州超臨界流体会議で口頭発表予定である. (2) 超臨界二酸化炭素による分配比増強(超臨界流体抽出実験) ポリエチレングリコールと炭酸ナトリウムから構成される水相2相系に於いて,既往の研究で使用されていた硫酸アンモニウムを使用することなく,炭酸塩だけでレニウムの分配比を4から200に増強できることを実験にて確認した.引き続き,実際に超臨界二酸化炭素を用いた抽出実証実験も実施したものの,金属化学種を添加した系では二酸化炭素,ポリエチレングリコールおよび無機塩水溶液によるクリーミング現象が分相を阻害し,分相特性が悪化して分配比の定量化も難しいことが判明した.このため,【今後の研究の推進方策等】に記載したように,新たに判明した技術課題を最終計画年度に解決する研究計画に修正し,初期の目標を達成する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究目的に謳った目標のうち,テクネチウム以外の複数の金属化学種への適用性については所定の成果が既に得られていることに加え,分相特性について,当初の計画にはなかった無次元性能指数を定量評価できたという追加的成果が上がっている.さらに,炭酸イオンによる金属分配比の増強と推察機序も明らかにした.しかし,評価物質移動係数の定量化と成果の情報発信について,前者は試験装置の故障により,後者は,平成25年11月に予定されていた米国オークリッジ国立研究所主催の国際会議(International Symposium on Separation Science and Technology for Energy Applications 2013)が米国政府予算成立遅れを理由として急遽中止となったことを理由として成果の情報発信計画遂行に遅れが見られるため,やや遅れていると自己評価したものである.
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Strategy for Future Research Activity |
当該の新規液液抽出系における物質移動係数の定量測定については,故障した旧試験装置に代わる試験装置を新しく整備し,大気圧下,および高圧二酸化炭素利用条件において平成26年度4~9月に実施し,研究の遅れを取り戻す所存である.また,成果の情報発信については,平成26年5月に仏国における専門学会にて口頭発表予定であり,研究論文も3月31日までに投稿済みとなっている.さらに,平成26年6月に米国モンタナ州で開催される米国化学会にても口頭研究発表報告を予定しており,達成度を初期の予定以上に回復させるべく平成26年度の研究計画について変更を行った.これまでの研究で超臨界二酸化炭素による分配比増強の期待は大きいが,水相2相系での分相性が悪化することが判明したため,科学的機序解明と分相性向上のための条件探索を具体的に進めることとしている.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年11月に米国国立研究所にて開催予定であった国際会議が米国政府予算成立の遅延のため,急遽開催中止となったため,手続き済みの出張を取りやめて,旅費の支出が行われなかったこと,および,物質移動係数測定装置の故障により当該研究の実施が困難であったことから,研究補助者の雇用計画を縮小して人件費・謝金を節約し,これらを平成26年度に使用する計画変更を行ったため,次年度使用額が生じた. , 研究成果発表については平成26年5月に仏国マルセイユ市で開催される欧州超臨界流体学会(EMSF2014)にて口頭発表を旅費を使用した出張で実施する計画とし,準備が完了している.物質移動係数の測定については,単一液滴滴下装置を新しく整備し,研究代表者自ら実験を実施することで,予算内での所期の研究成果の獲得を行う計画に変更した.このための試験装置整備と試薬一式に係る物品費として平成26年度4~9月に使用する予定.
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