2013 Fiscal Year Research-status Report
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24656579
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
滝沢 辰洋 信州大学, 繊維学部, 助教 (60188117)
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Keywords | マイクロ波 / メタン / 水素生成 / 接触分解 |
Research Abstract |
マイクロ波照射によって、主に炭素材料からなる触媒を数百度以上に加熱するとメタンを接触分解し水素に転化できることを確認した。 マイクロ波照射装置は発生源にマグネトロンを採用し、導波管を用いて中心周波数2.45GHzで安定的に発振させることができ、さらに発振出力を最大で1000W程度まで連続的に可変することができる。 メタンを接触分解させる反応器はシングルモードのマイクロ波導波管中に石英管を貫通させる様式で設置し、マイクロ波強度が最大になる部位に触媒を固定してメタンを流動させながら反応させた。反応の評価は流動ガスを適宜、シリンジでサンプリングしたものをガスクロで定量評価した。 この反応器は製作当初は反応器内にメタンを一定量封入したまま、流動させずに反応の可否を評価していたが、流動しながら反応させることで反応性(メタンから水素への転化)が向上することが確認できた。後者の方式による反応器は主に平成25年度に製作・評価されたが、この反応器でも反応温度(触媒の温度)を800℃にまで上昇させると転化率は約80%に達することを確認することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初のプロトタイプ反応器でマイクロ波加熱によるメタンの水素への転化を定性的に確認することができたが、この反応器は反応ガスを反応器内に封入・固定して反応させるものであった。 この方式でもマイクロ波の応用加熱でメタンから水素への転化に利用することが確認できたが反応器のスケールアップおよび工業化への応用を考えると反応ガス(メタン)を流動しながら連続的に反応させる方が好ましいと思われるため、反応器の一部を改変してガス流動型の反応器とし、その効率(転化率)と安全性を確認することとした。 改変したガス流動型の反応器は当初モデルの反応器程度のスケールではあるが、ガスと触媒表面を積極的に利用するため転化率の上昇につながったものと思われる。また他の有毒ガス(シアン化水素等)の発生も確認されず、この反応器の有効性かつ安全性を保証することができたと判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
主に平成25年度に改変したガス流動型の反応器の特徴的な点はマイクロ波を照射することでメタンが分解する程度の温度に達する「触媒」を用いていることにある。 現在、この触媒には照射するマイクロ波(2.45GHz)に対する比誘電率の関係から炭素系材料を用いているが、比誘電率以外の物理量に着目してマイクロ波に応答・発熱する物質を探索し触媒に採用することも重要であると考えている。 一つの候補は磁性材料であり、磁性材料のスピン状態をマイクロ波で制御して熱に変換することは、もう一つの「エネルギー変換」の視点からも注視すべき点であると思われる。具体的にはマグネタイトのような簡単に用意できる磁性材料を中心にマイクロ波照射による同反応器の有効性・安全性を確認したい。 この研究ではメタンの接触分解によって水素を生成することをプラクティスにしたが、平成25年度に実施した研究の結果から、ここで採用した分野以外へのエネルギー変換分野への展望も見出すことができたと確信している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究遂行上、非接触でマイクロ波照射場中に置かれた触媒の温度を正確に評価する必要があり、新規に放射温度計を購入するために繰り越した。 平成26年度の夏までの放射温度計を導入し被接触で各種触媒(磁性材料を含む)の温度を評価し、この研究で開発した反応器の有効性と安全性を確認する。 また現用の触媒以外の例えば磁性材料のマイクロ波場中での特性を評価するため、新規触媒を探索し原料の購入に充てる。 新規触媒の電磁波中における物理特性評価は設備の関係上、学内で実施することが困難であり学外の公的機関に依頼する必要があるため、これの旅費および評価依頼に充てる。
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