2012 Fiscal Year Research-status Report
レアアース元素を用いないユビキタス元素酸化物高温超伝導材料の開発
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24656580
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
一野 祐亮 名古屋大学, エコトピア科学研究所, 准教授 (90377812)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 超伝導 / レアアースフリー |
Research Abstract |
本年度は、パルスレーザー蒸着法(PLD法)を用いて様々な温度、酸素圧力そして基板上でSr-Cu-O薄膜を作製し、X線回折法を用いて結晶構造の評価を行った。薄膜の成長条件は、温度700-800℃、酸素圧力20-110 Paの範囲で、基板としてはSrTiO3とLaAlO3単結晶基板を用いた。 結晶構造の評価を行ったところ、すべての条件下でエピタキシャル成長していることが確認された。酸素含有量の目安となるc軸方向の格子定数を見積もったところ、すべての成長条件でほぼ同じ値の11.70-11.72オングストロームであった。Sr-Cu-Oバルクに関する研究から、酸素含有量が足りない試料において11.70-11.72オングストロームであることが報告されていることから、本研究の試料も酸素が不足していると考えられる。また、磁化率の温度依存性を測定したが超伝導転移は認められなかった。以上から、薄膜中に酸素欠損が多く含まれているために超伝導転移が見られなかったと考えられる。 次に、薄膜を成膜後に真空チャンバー内に酸素を満たし、様々な温度条件下で酸素中焼成を行い酸素の導入を試みた。その結果、酸素導入量の目安となるc軸長は、400℃焼成の時に最も短くなり、酸素が導入されつつある傾向が見られたが超伝導転移には至らなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現状では酸素欠損により超伝導転移には至っていないが、400℃付近で酸素が試料中に導入されつつある傾向が明らかになっている。 以上から、達成度を(3)とした。
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Strategy for Future Research Activity |
H24年度の結果から、400℃付近で酸素が導入される傾向が見られたことから、400℃における長時間の酸素中焼成や酸化剤による強酸化を行うことで試料中に酸素を導入し超伝導化を目指す。 また、薄膜作製雰囲気に強酸化作用を持つオゾンを混入させることで、強酸化させながら薄膜を成長させ試みも行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
・薄膜成長用の単結晶基板 ・酸化剤 ・オゾン生成装置 ・最新情報収集のための学会主張費用 ・研究成果発表のための論文投稿費用
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