2013 Fiscal Year Annual Research Report
レアアース元素を用いないユビキタス元素酸化物高温超伝導材料の開発
Project/Area Number |
24656580
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
一野 祐亮 名古屋大学, エコトピア科学研究所, 准教授 (90377812)
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Keywords | 超伝導線材 / 銅酸化物 / レアアースフリー / 薄膜 |
Research Abstract |
RE-Ba-Cu-O酸化物超伝導体(REBCO、RE=Y、Nd、Gdなどのレアアース元素)を用いた超伝導線材は、グリーンイノベーションに関わる次世代エネルギー技術の要素技術となっている。しかし、クラーク数の低いレアアース元素を用いているため、資源枯渇や原料入手が困難になる恐れがある。本研究では、クラーク数は高いが合成が困難であるAE-Cu-O超伝導体(AE=アルカリ土類)に着目し、高クラーク数AE-Cu-O超伝導線材の実現を目指した基礎検討として、エピタキシャル薄膜成長技術を用いて高い超伝導転移温度を持つAE-Cu-Oエピタキシャル超伝導薄膜を合成することを目的とした。 パルスレーザー蒸着(PLD)法を用いて様々な温度、酸素圧力条件下でSr-Cu-O薄膜を作製し結晶構造の評価を行ったところ、すべての条件下でエピタキシャル成長していることが確認された。Sr-Cu-O薄膜において、酸素含有量の目安となるc軸方向の格子定数(c軸長)を見積もったところ、すべての成長条件でほぼ同じ値の12.70-12.72オングストロームであり、酸素含有量が不足していることを示している。磁化率の温度依存性を測定したが超伝導転移は認められなかった。 次に、薄膜中に酸素を導入するために、Sr-Cu-O薄膜の成膜後に真空チャンバー内に強酸化作用のあるオゾンを導入し、様々な温度条件下でオゾン中熱処理を行い酸素の導入を試みた。その結果、c軸長は熱処理温度が高いほど長くなる傾向、つまり酸素が導入される傾向が見られ、500度の時には、12.85オングストローム程度まで伸長した。しかし、600度熱処理では逆にc軸長は短くなったため、Sr-Cu-O薄膜がオゾン(酸素)を吸収しやすい温度領域は500度付近の狭い温度領域に限られていると考えられる。オゾン中熱処理を施した試料について電気抵抗率の温度依存性を測定したが、超伝導転移は確認できなかったことから、薄膜中へさらに酸素導入が必要であることが示唆された。
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Research Products
(2 results)