2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24656581
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
八尾 健 京都大学, エネルギー科学研究科, 教授 (50115953)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高井 茂臣 京都大学, エネルギー科学研究科, 准教授 (10260655)
薮塚 武史 京都大学, エネルギー科学研究科, 助教 (20574015)
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Keywords | 緩和解析 / リチウムイオン二次電池 / リチウム / 電極材料 / リートベルト解析 / 拡散 / 結晶構造 / 平衡状態 |
Research Abstract |
電極材料において、リチウム挿入あるいは脱離後の開回路状態において、経時的に材料の解析を行うことにより、速度論的過程から熱力学的平衡に至る材料の状態変化を明らかにすることができることを、申請者は世界に先駆け発見し、この解析を「緩和解析」と名付けた。緩和解析は電極材料の動的状態変化を明らかにすることができる画期的手法であり、電極材料の研究に重要な知見を与えるものと考えられる。緩和解析を多くの電極材料に適用した。 γ-Fe2O3では、速度論的にはリチウムは8aサイトを優先し、平衡論的に安定なサイトは16cであることが明らかになった。第1原理計算を用いたシミュレーションでもこれを支持し、J-PARCで中性子回折を測定し、リチウムのサイト占有率についても解析した。 LiFePO4において、リチウム挿入停止後に、LiFePO4相のモル分率が減少した。リチウム挿入時には、リチウムの拡散を促進するために、欠陥を持つLiFePO4が多く生成するが、挿入停止後にそれが欠陥のないLiFePO4とFePO4に変化するためと考えられる。 LiMn2O4やLiCoO2では、リチウム挿入後の緩和時間にLi-rich相の割合は増加し、Li-lean相の割合は減少した。リチウム挿入時には拡散に有利なLi-lean相の構造が優先的に保持され、挿入後の緩和において熱力学的に安定なLi-rich相が増加したと考えられる。 LiNiO2ではLi-richとLi-lean相の2相が共存し,高Li領域では欠損の多いLi-lean相が拡散に有利で充放電中に多く生成し、低Li領域では格子の大きなLi-rich相が拡散に有利であることを見いだした。グラファイトでは充電時には欠損を含むステージ1が多く形成し、緩和過程で欠損の少ないステージ1とステージ2に分離することがわかった。
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Research Products
(17 results)