2013 Fiscal Year Annual Research Report
線虫をモデル系としたアナンダミド受容体の同定と機能解明
Project/Area Number |
24657001
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松本 邦弘 名古屋大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (70116375)
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Keywords | 遺伝学 / 遺伝子 / シグナル伝達 / 神経科学 / 生理活性 |
Research Abstract |
本研究では、線虫を用いた遺伝学的手法により、新規アナンダミド受容体の探索・同定を行うことを目的としている。昨年度までに、アナンダミド分解酵素FAAHの線虫ホモログfaah-1遺伝子の欠損による軸索再生低下の表現型を抑圧するスクリーニングにより、新規7回膜貫通型受容体SFAH-1を同定した。今年度はまず、sfah-1欠損変異体の解析を行い、この変異が通常の発生過程における軸索形成には関与しないことを確認した。次に、アナンダミド受容体をスクリーニングする新たなアッセイ系を構築するために、アナンダミド合成酵素であるNAPEの線虫ホモログNAPE-1を線虫で多量発現させたところ、切断する神経であるD型運動神経で発現させた場合でのみ、faah-1変異体と同様に神経軸索再生の低下が起こることを見出した。興味深いことに、この軸索再生低下の表現型は、sfah-1遺伝子の欠損によっては抑圧できなかったが、sfah-1の下流で機能することが示唆されている三量体Gタンパク質Goαの欠損変異により抑圧できた。これらの結果から、Goαの上流にはsfah-1以外にも別のアナンダミド受容体が存在しており、それが細胞自律的に産生されたアナンダミドに対する応答に寄与するのではないかと推測された。そこで、NAPE-1の多量発現による神経軸索再生低下の表現型を抑圧する変異体のスクリーニングを行った結果、SFAH-1とは異なるサブタイプの7回膜貫通型受容体であるSFAH-2を新たに同定できた。SFAH-2は哺乳動物のペプチド受容体と相同性があるが、その受容体はこれまでカンナビノイド受容体としての機能は報告されていない。以上のことから、本研究によりアナンダミド受容体の候補として、性質が異なる2つの受容体SFAH-1とSFAH-2を新たに同定することに成功した。
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Research Products
(1 results)