2012 Fiscal Year Research-status Report
蛍光相互相関分光法を用いたヒストン修飾クロストークの計測
Project/Area Number |
24657003
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
木村 宏 大阪大学, 生命機能研究科, 准教授 (30241392)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | クロマチン / 染色体 / ヒストン / エピジェネティクス / 翻訳後修飾 |
Research Abstract |
ヒストンの翻訳後修飾は、遺伝子発現、DNA修復、染色体分配などのゲノム機能の制御と維持に重要な役割を果たしているが、各修飾間のクロストークの全体像や意義は良く分かっていない。本研究は、蛍光標識した二種類の修飾特異的抗体または抗原結合断片(Fab)を用いて、蛍光相互相関分光法(FCCS)により、高感度かつ迅速なヒストン修飾コンビネーション検出法を開発することを目的として行っている。本年度は、FCCS解析の用いるための修飾特異的モノクローナル抗体の作製と評価、蛍光標識Fabの調製、及び、修飾間クロストークの予備実験としての蛍光共鳴エネルギー移動(FRET; fluorescence resonance energy transfer)計測を行った。抗体作製と評価に関しては、非修飾型のH3を認識する抗体の解析を進めた。さらに、様々なヒストン修飾を認識する抗体からFabを調製し、異なる蛍光色素で標識した後、細胞内に導入しFRETが起きるかどうかをアクセプターフォトブリーチ法により検討した。その結果、ヒストンH3のリジン4ジメチル化特異的Fab(Cy3標識)とリジン27アセチル化特異的Fab(Cy5標識)の組み合わせにより、FRETシグナルが検出された。従って、この二つの修飾は、同一のヒストンペプチドまたは同一のヌクレオソーム上に共存することが示唆された。これらの修飾をより高感度で検出するために、in vitroでのFCCS計測系の条件を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では、FCCSを用いた計測を主に行う予定であったが、FCCS装置の不調等により、本来の解析はあまり進んでいない。しかしながら、抗体の評価等を行うことで計測の準備は整ってきた。また、本研究が目指すヒストン修飾間クロストークに関しては、細胞内でFRET計測により計測可能であることが明らかになってきた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度には、これまで解析を進めてきた抗体を用いてFCCS計測を行う予定である。特に、細胞内でFRETを検出できる抗体の組み合わせにより、FCCS計測を行うことで、ヒストン修飾間のクロストークの検出法を確立できると考えられる。また、今年度はFCCS装置の不調などの問題があり、計測が困難なことが多かったが、FCCS計測が可能な新規の蛍光顕微鏡装置が最近所属する研究科に導入されたため、次年度は、この装置を用いて解析を行うことができる。従って、次年度では、現在の遅れを取り戻すことができると考えられる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費は、研究員の雇用に大部分あて、円滑な研究の推進を図る。その他、消耗品として蛍光色素や細胞培養に必要な試薬を購入する。
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