2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24657004
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
片山 勉 九州大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (70264059)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 遺伝子間領域 / 非コードDNA / ゲノム / 遺伝学 / 大腸菌 / DARS / datA / oriC |
Research Abstract |
原核生物では遺伝子間領域がほとんど無いと言われているにも関わらず、大腸菌ゲノムでは0.5 kb以上の遺伝子間領域が多数存在している。代表者は、近年、複製開始因子DnaAの機能制御に、特定の遺伝子間領域(DARS)が 必須であることを見いだした(Genes Dev., 2009)。DARSはDnaA多量体化の足場となり、形成された複合体中で DnaAの再活性化(つまりADP-DnaAからATP-DnaAへの変換)を起こす。本研究では、0.5 kb以上の遺伝子間領域を体系的に解析することを目的とした。 計画に沿って、まず、(1)情報解析による優先順位の決定を行った。ここではDnaA結合配列のみならず、核様体形成因子IHFの結合配列、反復配列を全ゲノム配列から抽出した。さらに核様体形成因子FisのChIP解析データも加え、これらの同時可視化プログラムを作成した。これらの情報をもとに、プロモーター配列を除外して0.5 kb以上の非コード領域をもつ領域を12カ所選定し、優先的に解析を進めることとした。そして、(2)実際にこれら全ての領域の欠失変異を作成した。計画どおりλーRedシステムを適用した。P1形質導入法によって、同一の親株にこれらの欠失変異を導入した。次いで、(3)作成された欠失変異体の表現型解析を体系的に進めた。増殖パラメーターの解析に加え、温度(低温、高温)、紫外線、浸透圧、DNA複製阻害剤(HU)等へのストレス耐性を解析した。この一次スクリーニングにおいて、数種の変異体で、野生型との差異を検出した。 また、すでに研究を進めていたdatA部位(DnaA結合部位クラスターをもつ遺伝子間領域)に関しては、ATP-DnaAをADP-DnaAに変換する機能があることを新たに発見し、その分子機構を解明した。この成果については、国際学会等で発表するとともに論文(PNAS)発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ計画通りに実施することができた。ただし、計画では0.5 kb以上の遺伝子間領域の配列情報を個別にコンピュータ解析する予定であったが、研究協力者により、全ゲノムにおける配列モチーフやタンパク質結合部位の同時可視化プログラムを作成できたのは、予想外の進展と言える。これは有力候補部位を選定することに有用であった。今後、解析対象を広げる場合にも有用であろう。欠失変異の作成と解析もは予定通りに進んでいる。ただし、一部の株では、表現型が不安定なものがあったため、再度、慎重に解析している。
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Strategy for Future Research Activity |
表現型が不安定であった変異体については、抑圧変異が起こりやすいためであろうと思われる。野生型との差異において重要と思われるものがでているので、異なる培養条件で変異体を再度作成するなど、慎重に検討して、安定した表現型が見られるよう試みる。上記の通り、全体としてみると、初年度としては、計画通りに想定した段階まで進んだので、今後も計画に沿って2年度目の実施計画を進めてゆく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当研究の推進には、培地の作成や遺伝子工学、細胞生物学の実施が必要であり、今後は、タンパク質解析を行う生化学の実施も想定される。それらに使用する試薬等を効率的に使用するには、研究の進展にあわせて当面の必要量に応じて購入することが重要である。よって次年度にも使用できる物品費が必要となる。使用計画の大部分はこの物品費にあてる。研究実施している大学院生の学会発表にかかる旅費、論文作成にかかる費用、実験装置の維持や修理費等も必要であり、計画に取り入れた。
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Research Products
(29 results)
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[Presentation] (未定)2013
Author(s)
片山 勉
Organizer
第86回日本生化学会大会 (シンポジウム)
Place of Presentation
横浜市
Year and Date
20130911-20130913
Invited
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