2012 Fiscal Year Research-status Report
知床半島における個体追跡装置を用いたオオワシの行動と海氷の関係
Project/Area Number |
24657009
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Research Institution | Kitami Institute of Technology |
Principal Investigator |
高橋 修平 北見工業大学, 工学部, 教授 (50125390)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島谷 健一郎 統計数理研究所, 大学共同利用機関等の部局等, 准教授 (70332129)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | オオワシ / 知床半島 / 寒冷地生態系 / 行動追跡 / 海氷 / オホーツク海 |
Research Abstract |
知床の特徴は海氷の存在および陸・海域相互作用の存在する生態系にある。オオワシは冬の渡り鳥として知床に飛来するが、沿岸の海氷の減少に伴い本種の飛来数も減少し、知床の生態系に影響を及ぼすことが予想されている。海氷分布とオオワシの関係を生態学的な視点、特に「生息環境と行動内容」の側面から明らかにして将来を予測することは重要であるが、海氷域での調査は危険が多く困難とされてきた。そこで本研究では、オオワシ個体をGPSで追跡しながら行動内容も把握する行動追跡システムを開発した。以下に実施内容を記す。 1.-30℃の寒冷環境下でもGPS測位と加速度記録を可能にし、設定時間になると鳥の体から自動落下して電波を発信して回収される小型行動追跡装置を開発した。 2.行動追跡装置の実用前段階の試験として、山地に生息する他の猛禽類クマタカに行動記録装置を装着して追跡を行った。放鳥場所から3km離れた山地森林内から無事装置を回収し、内部にデータが記録されていたことから、実用機としての信頼性を確認した。また、加速度データから行動内容の推定を行った。 3.警戒心の強いワシ類を遠隔操作で捕獲するための新たな脚固定型捕獲装置を試験製作し、従来の網捕獲装置と誘引率を比較した。その結果、従来型ではオオワシの誘引が困難であったが、新型では特に困難であった成鳥でも可能となった。今後さらに改良を加えることで、効率的なオオワシの捕獲・行動追跡を可能にすると期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は、捕獲方法の精度に問題が認められたが、開発された装着機器は概ね順調に計測できた。
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Strategy for Future Research Activity |
1.脚固定型捕獲装置を小型化し、ワシ類の誘引率を向上する。海氷が到来する厳冬期までに野外で捕獲試験を繰り返す。 2.試験的に得られた行動データを解析し、行動内容を判別する手法を確立する。 3.厳冬期にオオワシを捕獲し、行動追跡装置を装着して採食場所、海氷域での動きを明らかにする。さらに、目視センサスによるオオワシの分布情報を合わせて広い空間スケールで見た採食場所の特徴を明らかにする。衛星観測によって得られる海氷分布データを利用し、知床半島沿岸域のオオワシの潜在的分布地図を作成する。最後に、これまでの知床半島沿岸域の海氷の減少傾向をもとにして、沿岸域で越冬するオオワシ個体数の将来予測を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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