2013 Fiscal Year Annual Research Report
知床半島における個体追跡装置を用いたオオワシの行動と海氷の関係
Project/Area Number |
24657009
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Research Institution | Kitami Institute of Technology |
Principal Investigator |
高橋 修平 北見工業大学, 工学部, 教授 (50125390)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島谷 健一郎 統計数理研究所, 大学共同利用機関等の部局等, 准教授 (70332129)
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Keywords | 知床生態系 / 海氷 / オオワシ |
Research Abstract |
知床の特徴は海氷の存在および陸・海域相互作用の存在する生態系にある。オオワシ、オジロワシの海ワシ類は冬の渡り鳥として知床に飛来するが、沿岸の海氷の減少に伴い本種の飛来数も減少し、知床の生態系に影響を及ぼすことが予想されている。海氷分布と海ワシ類の関係を生態学的な視点、特に「生息環境と行動内容」の側面から明らかにして将来を予測することは重要であるが、海氷域での調査は危険が多く困難とされてきた。そこで本研究では、ワシ個体をGPSで追跡しながら行動内容も把握する行動追跡システムを開発した。以下に実施内容を記す。 1.-30℃の寒冷環境下でもGPS測位と加速度記録を可能にし、設定時間になると鳥の体から自動落下して電波を発信して回収される小型行動追跡装置を開発した。 2.行動追跡装置の実用前段階の試験として、海ワシ類同様の大型猛禽類であるクマタカに行動記録装置を装着して追跡試験を行った。放鳥場所から3km離れた山地森林内から無事装置を回収し、内部にデータが記録されていたことから、実用機としての信頼性を確認した。また、加速度データから行動内容の推定を行った。 3.警戒心の強いワシ類を遠隔操作で捕獲するための新たな脚固定型捕獲装置を試験製作し、従来の網捕獲装置と誘引率を比較した。その結果、従来型ではオオワシの誘引が困難であったが、新型では特に困難であった成鳥でも可能となった。今後さらに改良を加えることで、効率的なオオワシの捕獲・行動追跡を可能にすると期待される。
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