2012 Fiscal Year Research-status Report
マイクロ流路長期培養系を用いた大腸菌の細胞伸長における表現型可塑性の解析
Project/Area Number |
24657014
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
嶋田 正和 東京大学, 総合文化研究科, 教授 (40178950)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | マイクロ流路 / 1細胞培養計測系 / 大腸菌 / 細胞伸長 / 貧栄養 / SOS反応 / 表現型可塑性 / 遺伝的順応 |
Research Abstract |
環境ストレス下で大腸菌クローン細胞集団内の1細胞レベルでの反応基準の応答パターン(reaction norm:大腸菌の伸長性、ストレス応答関連遺伝子の発現)の差の検出を試みた。環境条件は、①通常(M9 培地+0.2%グルコース);②貧栄養(M9 培地+0.05%グルコース、同+グルコースなし);③貧栄養+抗生物質(M9培地+0.05%グルコース+抗生物質アンピシリン)の3つを設けた。親株(F3_IntC::Tmcherry4)をもとに、これまでにつくった形質転換体は以下の6系統である。rpos (ストレス応答上流遺伝子) / osmE (Stress-inducible outer membrane lipoprotein)/ psiF (Induced by phosphate starvation)/ dps (DNA protection protein, bacterial ferritin)/ dinB (DNA ポリメラーゼ, SOS レスポンスに関与)/ recA ("error prone" DNA 修復タンパク)。これら6株について、大腸菌ストレス応答関連遺伝子のプロモーター活性をGFP で検出を試行した。SOS レスポンス関与遺伝子(dinB, recAなど)は、貧栄養下、あるいは通常環境下でも増殖が進んで周囲の栄養がなくなってくると、一部の細胞だけが強い蛍光量を示し、伸長するものが見られた。双山型の発現量分化のようなパターンが生じ、特に強い発現量の細胞は、分裂後の娘細胞でも受け継がれることが示唆される観測結果を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
形質転換体を作製し、細胞伸長とストレス応答遺伝子発現をGFPで観測することで、クローン内の細胞に異質性があることを把握できた。また、これが分裂後の娘細胞に継承されることが示唆される結果を得たのは、初年度としては重要な結果である。また、1細胞培養計測系の技術を珪藻の性比調節に適用して、単細胞生物での進化のゲーム理論に適合する世界初の結果を報告している。
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Strategy for Future Research Activity |
通常栄養条件とストレス環境条件(貧栄養+抗生物質の混合)を周期的に交互に変えることで、SOSレスポンス関与遺伝子を組み込んだ形質転換株による変動環境での細胞伸長と貧栄養+抗生物質への反応基準を、1細胞培養計測系で調べる計画である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(5 results)