2014 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロ流路長期培養系を用いた大腸菌の細胞伸長における表現型可塑性の解析
Project/Area Number |
24657014
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
嶋田 正和 東京大学, 大学院情報学環, 教授 (40178950)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 大腸菌 / 細胞伸長 / 1細胞培養計測系 / SOS応答 / recA遺伝子の発現 / 密度依存性 / プロモーター活性 / 細胞分裂 |
Outline of Annual Research Achievements |
嶋田と大林夏湖(嶋田研特任研究員)は、連携研究者・若本の開発した1細胞培養計測系での大腸菌内でのプロモーター活性を、蛍光シグナルを利用して調べた。その結果、一部細胞で、増殖に伴いSOS応答とDNAの組替えに関わるrecA 遺伝子(以下recA)が強く発現し、recAを強く発現する細胞(以下「高recA発現細胞」)は細胞サイズの大きい伸長細胞であることを確認した。この結果から、細胞の密度増加とともに高recA発現細胞が増える「密度依存仮説」をたて、バッチ培養系で特定時間培養後のクローン細胞を捕集し、recA発現量(レポーター遺伝子GFPの輝度)と細胞伸長(細胞分裂に関わる別のレポーター遺伝子の輝度)の解析を行った。液体培地での4時間、6時間、8時間、11時間培養後の高recA発現細胞は、それぞれ、3/217, 1/202, 5/233, 27/212(高recA発現細胞数/全細胞数)であった。また伸長細胞は10/217, 2/202, 47/233, 35/212(伸長細胞数/全細胞数)であった。伸長かつ高recA発現した細胞は8時間後で2細胞、11時間後で3細胞であり、4時間、6時間後には観察されなかった。以上の結果から、(1)伸長細胞頻度は培養時間とともに増加、(2)高recA発現細胞頻度も培養時間とともに増加したことから「密度依存仮説」が支持された。一方、(3)伸長かつ高recA発現の細胞数はわずかであり、必ずしも両者の相関は強くなかった。この結果は伸長状態と高recA発現の相関が1細胞計測系とバッチ培養系で異なる可能性を示唆している。寒天培地を用いた1細胞計測系では、細胞内で高いrecA発現が持続する間は細胞分裂が抑制されて伸長が続き、細胞内のrecA発現が弱まると分裂を再開する様子が観察され、高recA発現と細胞伸長の間には関連性があることが推測された。
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Research Products
(1 results)