2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24657016
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
大塚 俊之 岐阜大学, 流域圏科学研究センター, 教授 (90272351)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤嶽 暢英 神戸大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (50243332)
金城 和俊 琉球大学, 農学部, 准教授 (30582035)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | マングローブ林 / 土壌圏炭素 / 炭素蓄積 / 溶存有機炭素 / 純一次生産量 / 微生物呼吸量 / 生態系純生産量 |
Outline of Annual Research Achievements |
マングローブ林の大きな炭素プールとNEPは、熱帯環境での高いNPP と冠水による低い分解呼吸 (RH) により説明されてきた。しかし潮位変動のあるマングローブ林では、固定された炭素の半分は行方不明で、本研究ではNEPが本当に大きいのか、炭素プールの起源が何処にあるのかを明らかにすることを目的とした。調査地の石垣島吹通川マングローブ林の地上部バイオマスは 294 トン/haであり、85% をオヒルギが、残りをヤエヤマヒルギが占めていた。また枯死木 (CWD) が多くCWDプールは 41 トン/ha に達した。地上部NPPは12.0 トン/ha/yr と推定され、バイオマス蓄積が4.2 トン 、CWDプールへの供給が1.6 トン であった。それ以外(6.2 トン)は、リターとして土壌に供給されるが、潮位変動によりほぼ系外へ流出した。RHについては、土壌表面と水面からCO2放出量を測定した。その結果、満潮時でも水面からのCO2放出が認められ、さらにCWD分解呼吸も含めると、従来の干潮時の土壌表面からだけの推定値に比べて、30%程度大きな年間RH推定値が得られた。これは従来のマングローブ林のNEPが大きく過大評価であることを示唆した。さらに、深度1mまでの土壌圏有機物(SOM)プールは291トン/ha、細根バイオマスは3トン/haに達した。一方で細根ネクロマスが多く (24トン/ha) 、細根ターンオーバーが短くて地下部リターが多いという可能性を示唆した。また河川水の溶存有機物について調べた結果、吹通川源流部では疎水性で難分解性であるフミン物質(HS)の割合が通常の河川に比べて高く、マングローブ林土壌へのHSの選択的な收着・保持が認められた。これらの結果から、巨大なSOMプールの一因として、大きな細根の生産量と河川上流部からの有機物の流入の2点が考えられた。
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