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2012 Fiscal Year Research-status Report

地下性甲虫の飼育法検討及び昆虫-微生物相互作用に関する基礎研究

Research Project

Project/Area Number 24657017
Research Category

Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research

Research InstitutionShimane University

Principal Investigator

新部 一太郎  島根大学, 生物資源科学部, 研究員 (10613961)

Project Period (FY) 2012-04-01 – 2015-03-31
Keywords地下性甲虫 / 昆虫微生物相互作用
Research Abstract

H24年度の研究計画に基づいて、地下性甲虫の人工飼育環境を構築し、長期間の飼育実験を行えるようにした。本研究で扱う地下性甲虫の野外での生息地環境は6-18℃、90-95%RHであり従来のインキュベーターでは再現が難しかったが、インキュベータ壁全面の精緻な温度制御と透湿防水素材による結露対策を兼ねた加湿装置によって12℃、95%RHの安定した飼育環境が構築できた。これは低温高湿度条件を必要とする他の飼育実験にも応用可能である。
構築した飼育装置で餌と飼育床の種類を変えて長期の飼育実験を継続中であるが、これまでの飼育装置では不可能であった6ヶ月以上の飼育に成功しており、条件操作に伴う死亡率の変化について今後の結果が期待される。現時点では飼育床を滅菌した区で死亡率が高かった。またバクテリア用の最少培地を餌として与えた場合、滅菌区と未滅菌の地表土壌区では死亡率が高い傾向が見られ、生育に地下の微生物が関与している可能性が確認された。
生息地における飼育実験は脱出防止用の囲いが落石によって破損してしまったため再試験中であるが、5ヶ月の試験期間中に死亡個体はいなかった。生息地の微生物群集については分類群は整理できており、地下性甲虫の生育に関与する機能についても想定できるレベルになった。
死亡個体の解剖結果からは予想に反して消化管等に共生している微生物を見いだせなかったが、これによって外部環境の維持によって微生物が間接的に甲虫の成育に影響している可能性が高まった。今後の検証を通してこのようなタイプの共生系を明らかにできれば昆虫と微生物の関係に新たな一面を加えることができるだろう

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

大きな目的の一つである地下性甲虫の飼育法開発のうち、最も基本となる低温高湿度で安定した飼育環境の構築は達成でき、これを用いた飼育試験も順調に進んでいる。飼育床と餌についても計画通り最適化のための試験を実施中であり、中長期的な人工飼育の可能性が高まってきた。
また、もう一つの大きな目的である生態学的な視点から見た地下環境における昆虫と微生物の共生的な関係については、これまでの断片的な知見をつなぎ合わせる結果が出始めており想定通りの進捗と言える。
対照試験としての補助的な野外飼育系でケージの破損による再試験が必要になったが、野外試験におけるある程度のトラブルは織り込み済みであり、現段階で計画全体に大きな遅れは生じない。
微生物群集の解析は遺伝子レベルでのデータベース検索で想定よりも既知微生物との相同率が低いために分類群の特定に手間取っているが、逆に言えば新規微生物の可能性も高まっており本課題の計画とはややずれるものの計画以上の成果が見えつつあると考えられる。
解剖試験は飼育試験が順調に進んでいるために未だ死亡個体が少なく十分なサンプル数を扱えていないという点で予定よりも遅れているが、飼育法が確立できることが第一の目的でありそちらを優先している。

Strategy for Future Research Activity

H24年度がほぼ計画通りに進行したため、H25年度以降も当初の計画に沿って進めていく方針である。ただし、H24年度に行った予備試験では地下微生物の遺伝子発現解析はサンプル間のバラツキが大きいために計画通り進まない可能性があり、これについては必要以上のコストをかけることがないように進退を判断したい。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

H24年度で甲虫の基本的な飼育に必要な装置は完成したため、今年度は微生物試験に関連する装置や資材を購入したいと考えている。また飼育試験が順調に進む場合はやや大規模な試験に向けて飼育装置を大型化することも考えたい。他に、H24年度の成果を学会等で発表するためにの旅費及び飼育試験の作業補助をお願いする人件費として使用させていただきたい。
H24年度から16229円の繰越金があるが、計画通りに使用していたとしても通常生じうる程度の残額であり、年度末に帳尻を合わせるために必要性の高くない物品を購入することを避けたためである。H25年度に繰り越した分は上記の用途に利用させていただく。

  • Research Products

    (1 results)

All 2012

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] タイシャクナガチビゴミムシTrechiama yokoyamaiの生態学的研究-特に微生物との関係について2012

    • Author(s)
      新部一太郎
    • Organizer
      日本洞窟学会
    • Place of Presentation
      琵琶湖コンファレンスセンター(滋賀県彦根市)
    • Year and Date
      20121124-20121125

URL: 

Published: 2014-07-24  

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