2013 Fiscal Year Research-status Report
花粉母細胞の減数分裂時に見られる特異な細胞質分裂のライブイメージング
Project/Area Number |
24657030
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
石黒 澄衛 名古屋大学, 生命農学研究科, 准教授 (50260039)
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Keywords | シロイヌナズナ / 減数分裂 / タペート細胞 / 花粉母細胞 / GFP / チューブリン / ライブイメージング / 細胞周期 |
Research Abstract |
葯を構成する細胞のうち、花粉母細胞とタペート細胞は同一の起源を持つが、前者が減数分裂で花粉を生じるのに対し、後者は花粉に対する哺育細胞としての働きを持つ。タペート細胞自身はもちろん減数分裂をしないのだが、花粉母細胞の減数分裂に先行して二核化するという興味深い挙動を示す。本研究ではこの二種類の細胞について、それぞれ減数分裂と二核化の過程についてライブセルイメージングを試みた。まずタペート細胞に関して、チューブリンにGFP、ヒストンにRFPを連結して有糸分裂の様子を観察した結果、分裂後期までは通常の体細胞分裂と同様に進行するものの、終期に形成されるフラグモプラストが遠心的な発達をしないまま消滅することが明らかとなった。従ってタペート細胞の二核化は、通常の体細胞分裂が細胞質分裂直前で停止することによって起こると考えられた。また、G2期に形成され、将来の分裂面を決める前期前微小管束がタペート細胞では観察されず、未発達のフラグモプラストとの関連が示唆された。次に花粉母細胞の減数分裂過程のライブイメージングを試みたが、花粉母細胞で蛍光タンパク質を強く発現させるプロモーターがないため、タペート細胞のような明瞭な画像を得るには至っていない。そこで、花粉母細胞で発現する遺伝子のカタログ化を進め、プロモーターの選抜を試みた。また、葯から減数分裂が進行している花粉母細胞を取り出し、まず抗体および各種蛍光色素を用いる方法で減数分裂過程の可視化を試みた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
タペート細胞の二核化のライブイメージングには成功し、染色体や微小管の挙動について詳細な観察結果が得られた。花粉母細胞のライブイメージングについてはまだ方法の改良を続けており、いくつか試してみたいアイディアがある。
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Strategy for Future Research Activity |
タペート細胞の結果については論文として発表するためのとりまとめを行う。花粉母細胞のライブイメージングを進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度後半に雇用予定であった研究支援者が雇用を辞退したため再度人選を行う必要があり、雇用開始が遅れた。また、研究を進める上で当初使用を予定していたシロイヌナズナよりも解析に適した材料が見つかり、それを用いることにしたが、一部の実験で条件検討をやり直す必要が生じたため研究計画に遅れが生じた。 研究支援者の人件費と、条件検討をやり直したために遅れた実験を遂行するための消耗品として経費を使用する。これによって行う研究は当初の目的に沿ったものである。
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