2012 Fiscal Year Research-status Report
植物細胞のウイルス増殖抑制機構とその解除因子の解明
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24657038
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
長田 敏行 法政大学, 生命科学部, 教授 (10012519)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | ウイルス生産の抑制解除機構 / マイクロRNA / イネ細胞 |
Research Abstract |
「イネ細胞では、タバコモザイクウイルス(TMV)は増殖できないが、キュウリモザイクウイルス(CMV)が共存すると増殖できる」という申請者らのこれまでの研究結果は、「植物細胞においては、ウイルス増殖が抑制されているのが、他ウイルスの作用で抑制解除される」ことを意味しており、これをマイクロRNAの見地から解明することを本研究の目標とする。このため、CMVゲノムのいずれの遺伝子産物がその作用に関わっているかを知るために、今年度は2bタンパク質に着目した。このタンパク質にヒスチジンタグを付けて大腸菌に生産させ、これをニッケルカラムに保持し、それと結合するようなイネ細胞タンパク質を探索した。これまでのところ、結合している可能性のあるタンパク質は見つかっているが、より確実にするために、大腸菌での2bタンパク質の多量生産を試みた。これまでのところタンパク質生産は認められるものの、量的解析には未だ不十分な量であり、より条件の検討を行って、多量の生産を目指している。一方、2bタンパク質をイネ細胞に作らせて、その影響下でTMVの生産への変化を見るための試みも行っているが、形質転換体は得られたものの、2bタンパク質の生産量は未だ十分ではなかった。よって、更なる培養条件の検討、遺伝子導入条件の検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までの達成度は、50%程度であると判断している。その理由は、2bタンパク質に結合するイネタンパク質の存在の可能性を示したという点では、目的の一部分は達成されたが、未だ改善の余地が多々ある。特に、大腸菌での生産が予想よりはるかに低く、2bタンパク質はどうやら大腸菌の増殖に影響を与えている可能性がある。これを解決することは、次のステップへの鍵と考えている。また、2bタンパク質を生産されるイネ細胞を求めることに関しては、なお、形質転換体が得られたものの、その量が十分ではないので、更に条件検討を行って、タンパク質の生産が十分な株を作る必要がある。このためには更なる改善と検討を行わなければならない。
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Strategy for Future Research Activity |
2bタンパク質を大腸菌に作らせたところ、大腸菌の増殖抑制が見られた。そこで、問題となりうるタンパク質構造の一部のアミノ酸配列を転換して、増殖できるような条件を見出す。それをクリアーできた条件で、再度ヒスチジンタグタンパク質を作り、これに結合するようなイネタンパク質を探索し、関係するタンパク質を追跡する。 また、イネ細胞に2bタンパク質を作らせる系では、形質転換体のつくるタンパク質が、ゲル電気泳動で明瞭にバンドが見えるように改善する。これが解決出来たら、この細胞にToMV-RNA(TMV-RNAに相当)を導入してその発現を調べる。 なお、CMVには他の遺伝子産物もあるので、それらの本研究への関わりも検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は、大部分を消耗品として使用する。また、旅費の使用は申請書の通りに実行する。なお、一名研究補助者を雇用するので、そのものへの賃金を支払う。
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