2013 Fiscal Year Research-status Report
地衣類を構成する共生菌および共生藻に生じる形質変化と遺伝子発現
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24657042
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Research Institution | National Museum of Nature and Science, Tokyo |
Principal Investigator |
大村 嘉人 独立行政法人国立科学博物館, 植物研究部, 研究主幹 (40414362)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
颯田 葉子 総合研究大学院大学, 先導科学研究科, 教授 (20222010)
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Keywords | 地衣類 / 共生 / 進化 / 遺伝子発現 |
Research Abstract |
平成25年度は,ハコネサルオガセUsnea hakonensisに由来する菌,藻,菌+藻それぞれの培養株を用いて,遺伝子発現探索を試みた。ハコネサルオガセは神奈川県丹沢山系において採取した個体を用い,地衣体を滅菌水で洗浄後,乳鉢ですり潰し,麦芽・酵母エキス培地(麦芽エキス2%,酵母エキス0.2%,寒天2%W/V)上,20℃で増殖させた。得られたコロニーを分離・洗浄し,菌株を同培地で増殖・継体し,藻株はC培地,20℃, 20μE/m2・secで培養した。平成24年度内にそれらの株からcDNAを回収したが,藻株については良好なRNAを得られなかった。原因がビーズ破砕による抽出でRNAが再分化されてしまったことを突き止め,乳鉢を用いる抽出法に変えて行ったところ,良質のcDNAを得ることができた。それらの菌,藻,菌+藻の培養株から得られたcDNAをもとにサブトラクション実験を行った。これまでに,菌株と再合成株との間で発現遺伝子を差し引いたもの,および藻株と再合成株との間で発現遺伝子を差し引いたもの,について次世代シークエンサーで解析を行っており,発現遺伝子について次のリード数を得ている。再合成-菌:83708リード,菌-再合成:73517,再合成-藻:65011,藻-再合成:54087。これらの遺伝子について,contig作成を行っているところであり,塩基配列を決定したのちBLAST検索を行い,遺伝子を特定していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
地衣類の培養は,菌類・藻類それぞれの単独では容易に株を確立することができるが,両者を混合して地衣体を再合成させることは極めて困難である。本研究では再合成実験を専門とする研究協力者から再合成株を得て,それらを用いてRNAを抽出しcDNA化することに成功した。さらに,それらの発現遺伝子を次世代シークエンサーで解読できており,共生現象の解明に関連する遺伝子の特定に大きく近づいた可能性がある。世界的にもほとんど報告事例がない研究分野において大きな成果を上げていると考えられることから,概ね順調に研究は進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
次世代シークエンサーから得られるデータ量は膨大であり,解析に時間を要する。最新の解析ソフトウェアを用いたり,バイオインフォマティクス分野の専門家との連携も行いながら,研究を進めていきたい。 また,本研究はパイオニア的な研究分野であり,論文作成は容易ではないものの,一日も早く論文としてまとめていくことが必要である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
予定していた出張が都合により行けなくなったため。 最終年度は,共同研究者間で直接面会して研究打合せを密に行い,これまでの研究成果を論文にまとめて出版する予定である。実験は追試,補足実験が中心となる予定。
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Research Products
(9 results)