2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24657054
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
西川 淳 北海道大学, 情報科学研究科, 准教授 (20392061)
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Keywords | 超音波発声 / マウス / 神経科学 / 聴覚皮質 / 聴性脳幹応答 / 難聴 / 老化促進モデルマウス / 電流源密度解析 |
Research Abstract |
本研究の目的は,複雑な時系列規則を持ったマウスの超音波発声(USV: ultrasonic vocalization)を司る神経メカニズムを明らかにすることである.USVの時系列規則はヒトの言語と比べれば単純なものではあるが,複雑な時系列規則を持った発声を処理する聴覚情報処理の脳機構を明らかにするために役立つと期待される. 本年度は,昨年までの成果を踏まえ,C57BL6/J,SAM-R1, SAM-P1系統のマウス聴覚皮質における神経情報伝達特性を定量的に調べるために,聴覚皮質を含むin vitro急性スライス切片における多点同時計測を行った.深層を電気刺激した際の局所電場電位(Local field potential: LFP)を8×8=64-chの記録点から計測し,電流源密度解析(current-source density analysis)を用いて電流源の時空間ダイナミクスを可視化した.その結果,深層から浅層へ,そして層に平行に活動伝搬していく様子が可視化できたが,その定量的特性に系統間の違いは見られなかった. また,急速に難聴が進むことが知られているDBA/2Jマウスを用い,難聴の程度と超音波発声の音響学的な特性との関係を調べる実験も行った.各週齢において聴性脳幹応答(ABR: auditory brainstem response)の閾値を測定して聴力を評価し,それぞれの個体の超音波発声を録音し,その音要素の基本周波数を推定した.その結果,6~8週齢で聴力がまだ低下していかない場合には基本周波数が下降(発達効果)していくのに対し,11~13週齢で聴力が低下していく場合には基本周波数が上昇(難聴効果)していく傾向にあることが分かった. これらの一連の結果は,マウスの超音波発声における聴覚皮質の役割や,その生得性/学習性の議論に有益な情報を与えていると考えられる.
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Research Products
(6 results)