2013 Fiscal Year Annual Research Report
学習による脳内単一神経細胞内でのcAMP濃度上昇の測定
Project/Area Number |
24657055
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Research Institution | Tokushima Bunri University |
Principal Investigator |
伊藤 悦朗 徳島文理大学, 薬学部, 教授 (80203131)
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Keywords | cAMP / 単一細胞 / 学習記憶 |
Research Abstract |
本研究代表者は、脳の構造が簡単で神経細胞の数が少なく、しかし、脳高次機能の研究に最適な動物である軟体動物腹足類のヨーロッパモノアラガイ(Lymnaea stagnalis)を用いて、その脳高次機能変化の一つである「学習記憶機構」について研究を続けてきている。モノアラガイにおいて、学習記憶機構の鍵を握るキー・ニューロン(Cerebral Giant Cell:CGC)を以前に同定している。このCGC単一神経細胞をシナプス前細胞として、それに続くそしゃく運動を司どるCPG(central pattern generator)の神経細胞をシナプス後細胞とした回路で、シナプスの長期変化が起こることは、これまでにわかっている。 そこでわれわれは多くの動物で示されている通り、学習時にシナプス前細胞内でcAMP濃度が上昇するものと仮定した。学習記憶機構を人為的にミミックするために、シナプス前側のCGC単一神経細胞内でcAMP濃度を上昇させてみた。その結果、学習記憶の生理学的応答を再現できることがわかった。しかしながら、cAMP濃度を人為的に上昇させているだけであって、本当に学習に伴ってこのシナプス前細胞でcAMP濃度が上昇するのかはわからなかった。 そこで、「学習時に脳内の単一神経細胞内でcAMP濃度は本当に上昇するのか?」この問題をモノアラガイのCGC単一神経細胞を用いて検証した。測定方法としてはcAMPセンサータンパク質を適用した。しかしながら、このセンサータンパク質の応答はin vitroでは検出できたものの、in vivoすなわちCGC単一神経細胞では検出できなかった。そこで、cAMPの抗体を用いる方法を急遽取り入れ、免疫組織化学法によってcAMP濃度上昇を確認することがでできた。
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[Journal Article] Involvement of insulin-like peptide in long-term synaptic plasticity and long-term memory of the pond snail Lymnaea stagnalis2013
Author(s)
J.Murakami, R.Okada, H.Sadamoto, S.Kobayashi, K.Mita, Y.Sakamoto, M.Yamagishi, D.Hatakeyama, E.Otsuka, A.Okuta, H.Sunada, S.Takigami, M.Sakakibara, Y.Fujito, M.Awaji, S.Moriyama, K.Lukowiak and E.Ito
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Journal Title
J. Neurosci.
Volume: 33
Pages: 371-383
Peer Reviewed
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