2012 Fiscal Year Research-status Report
次世代型分子系統解析の標準手法の開発:急速な適応放散史の可視化に向けて
Project/Area Number |
24657065
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Research Institution | National Museum of Nature and Science, Tokyo |
Principal Investigator |
奥山 雄大 独立行政法人国立科学博物館, 植物研究部, 研究員 (40522529)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田邉 晶史 独立行政法人水産総合研究センター, その他部局等, 研究員 (40549044)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 次世代シーケンサー / RADタグ法 |
Research Abstract |
本研究では次世代シーケンサーの性能を活かすことで、従来手法では困難であった極めて近縁な種間の系統関係を高解像度で明らかにするための新手法、解析手法を確立することを目指す。多数のOTUで並列処理を可能とするため、1OTUあたり100-300領域をサンプル中に含むようなライブラリー調整の方法を、RADタグ法を出発点として検討した。また、材料としては、すでに系統解析の実績が十分にあり、結果を評価しやすいチャルメルソウ類を用いた。まず手始めに、比較的近縁な2種、すなわちモミジチャルメルソウとチャルメルソウの種間で系統解析に利用可能な領域を評価した。またこの際、DNAサンプルにアダプターを付加し、PCR増幅を行う手順において,プライマーのアダプター配列の先に3塩基の選択配列を追加し、増幅産物を特定配列に制限することを試みた。この改変RADタグ法に当初DNA増幅に校正機能を有するPhusionポリメラーゼを用いたところ、目的と異なる非特異的な配列がデータの大部分を占めてしまうという問題が起こった。そこで、配列の正確性には劣るものの校正機能を持たない酵素であるr-Taqを用いたところ、増幅産物のうちプライマー配列で限定した領域の割合を大幅に高めることに成功した。しかし特異的な増幅領域は90-100領域に限られ、さらに、系統解析に潜在的に有用と考えられる2つの種のサンプル間で共通する配列は25領域しか得られなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初、改変RAD法のPCR増幅過程において短断片のフラグメントが過剰に増幅され、データのほとんどを、情報をほとんど持たない塩基配列が占めてしまうという問題が生じた。このため、無駄な試薬コストを避けるため問題が解決するまでデータ取得を中断することとした。また、シーケンサーの販売元であるロシュ社に速やかにトラブルシューティングを依頼した。結果、プライマーの濃度を低く抑えることなど、適切なライブラリー調整条件を確認することができ、その後のデータ取得も順調に行えるようになった。この空白期間があったため、初年度の達成目標のうち、カンアオイ属を用いたライブラリー調整条件の検討が行えなかった。また、適当な候補者がいなかったため研究の補助を行う調査等補助協力員を雇用することが出来なかった。しかしそれ以外についてはおおむね計画通りであった。
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Strategy for Future Research Activity |
当初、改変RAD法のPCR増幅過程において短断片のフラグメントが過剰に増幅され、データのほとんどを、情報をほとんど持たない塩基配列が占めてしまうという問題が生じた。このため、無駄な試薬コストを避けるため問題が解決するまでデータ取得を中断することとした。また、シーケンサーの販売元であるロシュ社に速やかにトラブルシューティングを依頼した。結果、プライマーの濃度を低く抑えることなど、適切なライブラリー調整条件を確認することができ、その後のデータ取得も順調に行えるようになった。この空白期間があったため、初年度の達成目標のうち、カンアオイ属を用いたライブラリー調整条件の検討が行えなかった。しかしそれ以外についてはおおむね計画通りであった。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度に繰り越した予算のうち30万円は、平成24年度に行う予定であった改変RADタグ法によるシーケンシングを実行するために使用する。これは、平成25年度に行う予定であったシーケンシングに追加する。また残りの34万円については、申請時の計画では予定していなかった通常のRADタグ法を行うための試薬費として使用する。これ以外に、平成24年度は該当者不在のために見送った研究補助員の雇用を試みるなど、平成25年度の予算については当初計画通りに執行する。
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Research Products
(1 results)