2013 Fiscal Year Annual Research Report
非酸素発生型ー酸素発生型光合成の過渡段階の探索と検証:シアノバクテリアの初期進化
Project/Area Number |
24657067
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
富谷 朗子 独立行政法人海洋研究開発機構, 海洋・極限環境生物圏領域, 主任研究員 (60392940)
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Keywords | 進化 / シアノバクテリア / 環境 / 多様性 / 酸素 |
Research Abstract |
シアノバクテリアは地球史上初の酸素発生型光合成生物であり、その進化は地球史や生物進化を考える上で最も重要な課題の一つである。シアノバクテリアは、光化学系の構造や分子系統解析などから、非酸素発生型の光合成細菌から進化したと考えられてきた。しかし、その進化過程や時期は未だ不明である。そこで本研究では非酸素発生型と酸素発生型光合成生物むすぶ過渡段階ともいえる、シアノバクテリアの非酸素発生型光合成に着目して研究を行った。H25年度は、前年度までの野外試料を材料とした培養実験・微生物群衆解析から得られた光合成活性、分子系統学的な情報の解析を進めるとともに、環境条件・地史学的知見と統合する作業を進めた。 前年度までに野外試料を材料とした培養実験および群衆解析の結果から、2属4種/株が主要構成種として同定されていたが、さらに系統解析を精査した結果、3(または4)属6種/株からなることが示唆された。このうち1株については時期・場所に関わらず普遍的に見られる一方、残る5株については環境特異的、うち2株は時期特異的な出現傾向を示し、分布域・期の環境圧と各種/株の環境耐性の関連が示唆された。非酸素発生型光合成能を持つと推察されるグループの進化過程を復元するため、同定された種/株の塩基配列を近縁種を含む多様なシアノバクテリアの既知配列とともに分子系統解析を行った。また、分子系統樹と野外環境条件および地史学的な環境の変遷との対応から、進化の背景について考察した。なお、成果の一部については日本地球惑星科学連合大会にて発表した。
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