2013 Fiscal Year Research-status Report
二次元有機-無機ハイブリッド複合体空間を用いた新規結晶化法
Project/Area Number |
24657068
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
姚 閔 北海道大学, 先端生命科学研究科(研究院), 教授 (40311518)
|
Keywords | タンパク質結晶化 / 二次元分子空間 / CPAPhS / 構造解析 |
Research Abstract |
タンパク質X線結晶構造解析は原子レベルで生命現象を解明するための圧倒的に優れた手法であるが,適用するためには良質の結晶が必要であり,「結晶化過程」が越えなければならない大きな壁として立ちはだかっている.現在でも,解析に適した高品質の結晶を得るための方法論は確立しておらず,結晶化試薬や,結晶の成長環境の網羅的な探索による偶然的な方法に依存しているのが現状である.そのため,多数の,原子レベルで説明されるべき生命現象や,魅力的な創薬ターゲットタンパク質が,単に結晶作成が困難であるという理由で放置されているのが現状である.本研究では,規則的な機能性有機-無機ハイブリッド複合体を持つ二次元分子材料にターゲットタンパク質をリンクすることによってタンパク質結晶核形成を促進するための技術を確立し,これを利用した全く新しいタンパク質結晶化法の開発を行う. 平成25年度は,CPAPhSを利用した結晶化を新規タンパク質の結晶化に適用した.その新規タンパク質は真核生物リボソームの生合成における5S rRNP複合体を形成するトランス因子Rpf2とRrs1の複合体(Rpf2-Rrs1)である.モデルタンパク質の結晶化と同様に,海外研究協力者が合成していた規則的な二次元分子材料である機能性有機-無機ハイブリッド複合体CPAPhSを,室温の条件でRpf2-Rrs1複合体とのリンク反応をさせ,結晶化用の種を作成した.その結晶化種を用いて結晶化のスクリーニングを行った結果,X線照射に適用できる結晶を20条件以上得ることができた.シンクロトロン放射光施設にて,約2.1Å分解能の回折データを得ることができた.しかし,得られた結晶をSDS-PAGEによって確認したところ,分解されたタンパク質が検出された.タンパク質の分解状況を解析した結果,結晶化したRpf2とRrs1が断片化されたことが分かった.今後,構造解析を進めて,CPAPhSの影響を検討する.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は,規則的な機能性有機-無機ハイブリッド複合体を持つ二次元分子材料CPAPhSにターゲット蛋白質を結合し,化学材料を用いたタンパク質結晶化の新規技術の開発である.平成25年度は,CPAPhSによりモデルと新規タンパク質の結晶を得ることができており,着実に研究を進めている.
|
Strategy for Future Research Activity |
平成25年度までに得られたタンパク質の断片情報に基づいて,タンパク質のドメインを調製し,CPAPhSを用いた結晶化により,結晶化及び構造解析を行う.その結果から,CPAPhSを用いた結晶化法がタンパク質の安定性に,二次元分子空間材料がタンパク質の結晶化に及ぼす影響を検討する.その結果に応じて,二次元分子空間材料の改良を行う.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度に,規則的な二次元分子材料である機能性有機-無機ハイブリッド複合体を用いて,応用タンパク質の結晶化に適用したところ,結晶が得られた.その得られた結晶をSDS-PAGEによって確認したところ,分解されたタンパク質が検出されたが,計画を変更して,タンパク質の分解状況を詳細に解析することとしたため,未使用額が生じた. CPAPhSを用いた結晶化法がタンパク質の安定性に,二次元分子空間材料がタンパク質の結晶化に及ぼす影響を検討するため,タンパク質の詳しい分解状況が分かった上で,タンパク質断片の大量調製,CPAPhSを用いた結晶化法による結晶構造解析を平成26年度に行う.それらの実験用の消耗品費などに使用する.
|
Research Products
(2 results)