2012 Fiscal Year Research-status Report
中性子結晶解析法によるヒドロゲナーゼの反応機構およびプロトン経路の解明
Project/Area Number |
24657077
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
樋口 芳樹 兵庫県立大学, 生命理学研究科, 教授 (90183574)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | ヒドロゲナーゼ / X線結晶解析 / 反応機構 / Ni酵素 / 燃料電池 |
Research Abstract |
本申請研究では,巨大タンパク質・ヒドロゲナーゼのNi-Fe 活性部位における水素活性化の反応中間体を,中性子結晶解析法により直接観察することを主目的とする.また,水素を分解した後の産物・プロトンのタンパク質中の移動経路の解明を目指している.平成24年度は,下記の3点について研究を遂行した. 1.重水溶液中での [NiFe]ヒドロゲナーゼの結晶化条件の改良.本実験を試みた結果,平成23年度までに得られていた方法で,2-methyl-2,4-pentanediol(MPD)を結晶化沈殿剤として,5mm3の単結晶調製に成功した.また,MPDが酸化されると4-hydroxy-4-methyl-2-pentanone(HMPO)が生成され,それがヒドロゲナーゼを変性させることなどを見出した. 2.酸素耐性膜結合型 [NiFe]ヒドロゲナーゼの重水緩衝溶液中での結晶化.本実験については,現時点では良好な結晶化条件は見出されていない.今後,さらに多くの条件で結晶化スクリーニングするために十分な量の酵素試料の調製条件の検討が急務である. 3.巨大単結晶の高圧下における凍結条件のスクリーニングおよび結晶還元条件の確立. これまでの研究では,酵素にCO を結合させることで,活性部位に基質・水素をトラップできることが判明している.この方法で基質の反応水素を活性部位に固定することを目的に,回折実験を80 Kあるいはそれ以下(30 K 程度)の低温で行うための条件検討を行った.その結果,上記1で得られた単結晶(5.0 mm3)に大きなダメージを与えることなく凍結することに成功し,実験室X線装置を用いて1.4 A分解能のX線回折像を得ることに成功した.平成25年度は,上記1~3についてさらに研究を推進したい.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に記載されている3つの課題のうち1と3について,下記のように概ね順調に進行しているからである. 1.重水溶液中での [NiFe]ヒドロゲナーゼの結晶化条件の改良.本実験で,2-methyl-2,4-pentanediol(MPD)を結晶化沈殿剤として,これまでで最も大きな5mm3の単結晶調製に成功した. 2.酸素耐性膜結合型 [NiFe]ヒドロゲナーゼの重水緩衝溶液中での結晶化.本実験については,現在,実験計画を練り直している. 3.巨大単結晶の高圧下における凍結条件のスクリーニングおよび結晶還元条件の確立. 上記1で得られた単結晶(5.0 mm3)に大きなダメージを与えることなく凍結することに成功し,実験室X線装置を用いて1.4 A分解能のX線回折像を得ることに成功した.
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画に記載されている3つの課題のうち1~3について,下記のように研究を進めていきたい. 1.重水溶液中での [NiFe]ヒドロゲナーゼの結晶化条件の改良.本実験で,2-methyl-2,4-pentanediol(MPD)を結晶化沈殿剤として,重水中においてさらに大きくて良質の単結晶の調製を目指す.平成25年度中にそのような単結晶の調製に成功した場合には,海外機関での中性子回折実験の申請および実施も考慮したい. 2.酸素耐性膜結合型 [NiFe]ヒドロゲナーゼの重水緩衝溶液中での結晶化.本実験については,現在,酵素試料の発現系の構築を進めてる.これに成功すれば,結晶化ロボットを使って結晶化条件のスクリーニングを開始したい. 3.巨大単結晶の高圧下における凍結条件のスクリーニングおよび結晶還元条件の確立. これまでの技術の蓄積で巨大結晶についても大きなダメージを与えることなく凍結することに成功している.上記2で得られる予定の重水緩衝溶液注の巨大結晶についても問題なく凍結処理が可能と考えている.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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[Presentation] Polymerization and Peroxidase Activity Enhancement of Cytochrome c by Successive Domain Swapping at the C-Terminal Helix2012
Author(s)
S. Hirota, Y. Hattori, Z. Wang, S. Nagao, M. Taketa, H. Komori, H. Kamikubo, T. Matsuo, I. Takahashi, S. Negi, Y. Sugiura, M. Kataoka, Y. Higuchi
Organizer
International Conference on Porphyrins and Phthalocyanins
Place of Presentation
Pusan (Korea)
Year and Date
20120702-20120702
Invited
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[Presentation] Polymerization and Peroxidase Activity Enhancement of Cytochrome c by Successive Domain Swapping at the C-Terminal Helix2012
Author(s)
S. Hirota, Y. Hattori, Z. Wang, S. Nagao, M. Taketa, H. Komori, H. Kamikubo, T. Matsuo, I. Takahashi, S. Negi, Y. Sugiura, M. Kataoka, Y. Higuchi
Organizer
IEEE International Conference on Computational Photography
Place of Presentation
Seattle (USA)
Year and Date
20120427-20120427
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