2012 Fiscal Year Research-status Report
発熱植物ザゼンソウにおいて見出された脱共役活性の分子基盤に関する研究
Project/Area Number |
24657080
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
伊藤 菊一 岩手大学, 農学部, 教授 (50232434)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 脱共役タンパク質 |
Research Abstract |
ザゼンソウ群落地にて発熱中のザゼンソウより肉穂花序をサンプリングした。肉穂花序から小花を分離し、細胞分画により得られた粗ミトコンドリアをパーコール密度勾配法により精製した。得られたミトコンドリアについては、NADH等の呼吸基質を用い、その呼吸活性を測定し、ミトコンドリアの活性をチェックし、以降の実験に用いた。本年度においては、脱共役タンパク質を解析するための新たなペプチド抗体を作成した。得られた抗体についてはその特異性等について精製ミトコンドリアを用いたウエスタン解析を行い、当該抗体が以降の解析に使用可能であることを確認した。興味深いことに、本抗体により検出されるシグナルは、雌期の肉穂花序のみならず、花粉が現れた後の雄期の肉穂花序においても十分高レベルの発現が観察されることが判明した。これは肉穂花序における脱共役タンパク質が雌期のみならず雄期においても機能していることをうかがわせる結果である。得られたペプチド抗体を用い、ザゼンソウ由来ミトコンドリアを用い、Blue Native 2D SDS-PAGEによって分離された脱共役タンパク質のスポットを検出することに成功した。このスポットを切り出し、nano LC-MS/MS分析を行った結果、脱共役タンパク質のペプチド配列が複数確認できた。次年度は本手法をより効率的に行うための最適化された方法を確立する予定である。また、ザゼンソウのゲノムDNAを抽出し、脱共役タンパク質をコードする遺伝子の増幅を試みた結果、少なくとも2種類のゲノム遺伝子が存在することが判明し、その構造解析を進めているところである。この解析は次年度以降も継続し、これら別々のゲノム遺伝子からいかなる転写産物が生じているのかをより明確にする予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
問題とするタンパク質のペプチドおよびゲノム情報が得られつつあり、目標の達成に向けて概ね順調に進んでいると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降も、新鮮なミトコンドリアの調製を継続するとともに、nano LC-MS/MS解析をより効率良く行うための手法を最適化する。また、転写産物のバリエーションなどに関する解析も開始し、ゲノムからタンパク質までの一連の情報の流れをつかみたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし。
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Research Products
(1 results)