2012 Fiscal Year Research-status Report
ニューロステロイド・7αーヒドロキシプレグネノロンの生理機能とその作用機序
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24657082
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
清水 貴美子 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (50451828)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | ニューロステロイド / 神経科学 / 行動 |
Research Abstract |
交付申請書に記載の研究実施計画に沿って研究を遂行し以下の結果を得た。 7α-ヒドロキシプレグネノロン (7α-OH-Preg) は、イモリや鳥類の脳ではその存在が示されているが、哺乳類の脳において存在はまだ明示されていない。そこで、マウス脳内における 7α-OH-Preg の実態を示しその定量を行うために、逆相液体クロマトグラフィー による 7α-OH-Preg の分析条件を整えた。この条件をもとに脳内における 7α-OH-Preg 発現量の時刻変動や光依存性、脳部位について現在分析を進めている。一方、脳内の 7α-OH-Preg 生合成に関わる合成酵素群の解析のため、 RT-PCR により7α-OH-Pregの産生部位および時刻変動を検討した。この結果、間脳、海馬など、少なくともいくつかの脳部位において合成酵素群の存在が確認でき、間脳において合成酵素の発現量が概日変動することをみいだした。また、マウスにおける 7α-OH-Preg の生理作用を明らかにするため、シリンジポンプによる 7α-OH-Preg の急性脳室内投与および、浸透圧ポンプを用いた2週間連続脳室内投与の2種類の投与をおこない、明暗または恒暗条件下における連続行動量測定をおこなった。活動量、行動リズム周期および行動リズム位相等を解析した結果、少なくとも暗期前半の急性投与ではリズムや活動量に影響が見られなかった。しかし、7α-OH-Preg の2週間連続投与により、活動量に影響がある可能性を見いだしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
7α-OH-Pregのマウス脳内への投与や、それに続く各種行動テストは順調に進行し、7α-OH-Preg が活動量をコントロールする可能性をみいだした。 RT-PCR により脳内の7α-OH-Preg合成酵素群を検出し、間脳における7α-OH-Preg 合成酵素の発現量が時刻変動することも確認できた。脳内 7α-OH-Pregの分析のため、高速液体クロマトグラフィーのシステムを立ち上げ、分析条件の検討を経て、分析可能な状態まで進める事ができた。脳内 7α-OH-Pregの分析までには至らなかったが、交付申請書の実施計画に記載した内容を概ね達成する事ができた。
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Strategy for Future Research Activity |
H24 年度に立ち上げた高速液体クロマトグラフィーの条件を用いて、脳内 7α-OH-Preg の生合成の時刻変動や光依存性など詳細なプロファイル分析をおこなう。7α-OH-Preg 合成酵素群の脳内分布や発現の時刻変動の詳細な解析も引き続きおこなう。また、 7α-OH-Preg の生理作用に関して、記憶や情動に対する影響についても検討する予定である。さらに、当初の予定通り、ファージディスプレイ等による 7α-OH-Preg の受容体の探索を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
7α-OH-Preg 生合成の詳細なプロファイルを完成させるために、マウス脳や脳脊髄液の時刻毎のサンプリングをおこなう。また、マウスに 7α-OH-Preg を投与して情動や記憶に対する影響を検討する。これらの実験のために研究費の一部をマウス購入費用として使用する。受容体探索の実験では、7α-OH-Pregをトリチウムでラベルしファージディスプレイに用いる。これら、マウス費、トリチウムラベル費、その他試薬類をあわせて、物品費として使用する。
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