2013 Fiscal Year Research-status Report
ニューロステロイド・7αーヒドロキシプレグネノロンの生理機能とその作用機序
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24657082
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
清水 貴美子 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (50451828)
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Keywords | ニューロステロイド |
Research Abstract |
交付申請書に記載の研究実施計画に沿って研究を遂行し以下の結果を得た。 7α-ヒドロキシプレグネノロン (7α-OH-PREG) はイモリや鳥類の脳ではその存在が知られており、行動量の調節に関与する事が知られている。一方、哺乳類の脳において7α-OH-PREGの合成酵素群は存在するものの、7α-OH-PREGの実体はいまだ明示されていない。マウス脳内における7α-OH-PREGの実体を示し、時刻による変動や光誘導を解析するために逆相液体クロマトグラフィー (HPLC) による分析条件の検討を行った。コレステロールを出発点として合成される7α-OH-PREG以外のニューロステロイドも、7α-OH-PREG量の変動にともなって変化する可能性があるため、変動しうる他の10種類のステロイド分析が同時に検出できるよう分析条件を整える事が望ましい。測定機器の不具合や、購入したステロイド標準品の精製不足など、予測不能のトラブルがある中、カラムや溶媒などの検討をおこない、これら全種類のステロイドを同時に分離解析できる HPLC条件を整えることができた。この条件を用いて、マウス脳の有機溶媒抽出液中に7α-OH-PREGと思われるピークを確認する事ができた。また、大阪大学蛋白質研究所の高尾敏文教授のご協力のもと、7α-OH-PREGをはじめとするステロイド群のLC-Mass による分析・同定の条件を検討した。溶媒等に工夫を必要としたが、分析条件を確立し、ニューロステロイドの同定・確認を行う条件も整えることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
脳内ステロイドの HPLC 解析過程で機器の不具合が発生し、度重なる機器の修理を強いられた。さらに、分析の標準品として購入したステロイドの精製度が悪く、解析結果の解釈に混乱・困難を伴った。これらの事由により当初計画していた研究内容を予定通り進めることが難しく、当初の予定より遅れをとった。標準ステロイドは再精製を行い、HPLC の新機種導入により、現在は計画した研究を推進中である。HPLC 機器の不具合の期間中、 Mass 解析および LC-Mass 解析によるステロイドの同定を試み、種々のステロイドの同定条件を整える事ができた。申請書に記載した計画には少し遅れがでたが、当初予定していた以上の解析を行えるメリットが得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に機器のトラブル等で遂行できなかった研究を遂行する。HPLC 条件は整ったため、脳組織・脳脊髄液の時刻サンプリングを行い、ステロイドの抽出後定量分析をおこなう。また、ステロイド合成酵素欠損マウスをもちいて同様の解析を行う。解析結果は、既に測定中の行動的特徴と関連づける。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
HPLC によるステロイドの測定過程で、機器の不具合が生じ測定不能となった。さらに、購入したステロイドの精製度が低い事が判明した。これらの事態に対処する為、度重なる機器の修理およびステロイドの調達し直しで、予定通りの研究が進まなかった。機器の修理および新機種の導入により現在では安定した測定が可能となり、ステロイドも精製し直したものを調達できている。 ニューロステロイドの合成分泌の定量測定のためのマウス購入、ステロイド合成酵素ノックアウトマウスの飼育費用、およびステロイド標準品の購入費用のために未使用額を使用する。
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