2012 Fiscal Year Annual Research Report
概日リズム制御因子によるヌクレオソーム形成・維持の分子機構及び生理学的意義の解析
Project/Area Number |
24657084
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
平山 順 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 准教授 (90510363)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 概日リズム / Deposition / クロマチン |
Research Abstract |
概日リズムとは、睡眠/覚醒やホルモン分泌といった生命現象に観察される約24時間周期の変動であり、生物に内在する分子時計により形成される。分子時計は一連の時計蛋白質により構成され、細胞自律的に制御されている。本研究の目的は、主要な時計蛋白質の一つであるBMAL1によるヌクレオソーム形成・維持の分子メカニズムに注目し解析を行った。 真核細胞は、DNA高次構造であるクロマチンを有し遺伝情報を安定に維持することで、細胞機能を健全に調節している。クロマチンはコアヒストン(H2A, H2B, H3, H4)各2分子と約147bpのDNAから構成されるヌクレオソームを基本単位とする。コアヒストンをヌクレオソームに組みいれる過程はDepositionとよばれ、ヒストンシャペロンにより調節される。近年、細胞死制御因子DAXXは転写制御に関与するヒストンH3.3に特異的なヒストンシャペロンとして機能することが複数のグループから報告されている。一方で、申請者は質量分析法を用いたスクリーニングによりDAXXを新規のBMAL1結合因子として同定している。また、自身の生化学的な解析の結果からBMAL1がDAXXの機能調節を介してDepositionを制御するという着想に至った。 本研究は、(1)分子時計標的遺伝子のプロモーターへのヒストンH3.3が日周期的にDepositionされること、(2)この周期的なH3.3のDepositionがBmal1又はDaxxを機能抑制した細胞において阻害されることを見出した。これらの知見は、BMAL1によるDAXXの機能調節がヒストンH3.3のDepositionの日周性形成に寄与することを示唆している。今後、このH3.3の日周的なDepositionの概日的な遺伝子発現制御における役割を検討していく予定である。
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