2012 Fiscal Year Research-status Report
人為的に極性化した細胞を用いた非対称分裂制御機構の解析
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24657088
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
花房 洋 名古屋大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (00345844)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | LRRK1 / Spindle orientation / NuMA / Dynein |
Research Abstract |
非対称分裂は、幹細胞の増殖・分化を制御する重要なシステムである。これまでモデル生物を用いた解析から、非対称分裂に重要な細胞の極性化を制御する因子(ParやaPKC、Numb、LGN、NuMAなど)が多数同定されてきた。しかしそれらが織りなす作用機構の詳細は未だ不明な点が多い。申請者は、本来極性のないHeLa細胞に細胞間接着分子Echinoidと極性分子とのキメラを発現させることで、人為的に極性を誘導し、非対称分裂に重要な因子の作用機構の解明を目指している。このシステムのメリットは、極性細胞の持つ外部環境や内因性のシグナルからの影響を排除でき、かつ簡便に非対称性分裂に対する効果を評価できることである。 現在、キメラ分子による人為的な極性誘導系の構築は道半ばであるが、非対称分裂を制御しうる分子の同定に成功した。ROCOファミリーキナーゼLRRK1をノックダウンすると、スピンドル配向が異常になる。このとき、細胞膜に局在し星状体微小管と細胞膜との相互作用に重要なNuMAの局在が消失することを見いだした。また、LRRK1はDynein複合体分子Dynactinの構成因子とも相互作用することから、微小管プラス端で星状体微小管と細胞膜との相互作用を制御し、スピンドル配向を適切にコントロールしている可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
細胞間接着分子Echinoidと極性分子とのキメラを発現させることで、HeLa細胞に人為的に極性を持たせる系の確立は未だできていない。一番の問題点は、HeLa細胞を適切な濃度で培養し、細胞膜のある領域でだけ接着させるような条件をつくるのが困難な点である。現在、キメラ分子の安定発現細胞を樹立させ、適切な接着をもつ細胞集団のポピュレーションを増やす検討を行っている。一方、スピンドル配向を制御する機構の解析については新たな進展がみられた。これまでLRRK1がスピンドル配向制御に重要であることは明らかにしていたが、今回、LRRK1がM期中心体で活性化し、中心体の微小管伸長活性を制御することで星状体微小管の伸長に機能していることが明らかとなってきた。
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Strategy for Future Research Activity |
まずEchinoidとNuMAとのキメラ分子の作製及び、人為的に極性を誘導するシステムの構築に全力を注ぐ。さらにLRRK1による中心体微小管伸長活性の制御については、LRRK1の標的蛋白質の同定を試みる。これまでin vitro kinase assayを用いた解析から、いくつか標的蛋白質の候補を同定している。それらの中には、中心体に局在し、星状体微小管の伸長に重要な蛋白質も含まれているため、まずこの蛋白質がLRRK1の下流で機能しているか検討する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
培養細胞を用いた実験に必要な試薬類(トランスフェクション試薬、血清、培地など)や、器具類(各種dishや使い捨てピペットなど)、抗体作製、siRNAのオリゴ作製など、主に消耗品を中心に研究費を使用する予定である。
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