2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24657090
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
船戸 洋佑 大阪大学, 微生物病研究所, 助教 (60505775)
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Keywords | マグネシウム / トランスポーター / 局在制御 |
Research Abstract |
本研究は未解明であるマグネシウムの生体吸収機構を明らかにすることを目的としていた。マグネシウムの吸収に関わる腸の基側部に局在し、申請者がMg2+の排出に関わることを明らかにしていたトランスポーターMagExについて、その遺伝子破壊マウスを作出し、解析を行った。その結果、ホモ欠損マウスでは血清中のマグネシウム濃度が有意に低下しており、生体内におけるマグネシウム恒常性に異常が生じていることがわかった。実際、マグネシウムを含まない食餌に切り替えたときの生存期間は、MagEx欠損マウスで有意に短縮していた。 腸からのマグネシウムの吸収能を比べるべく、糞中のマグネシウム量を測定したところ、MagExの欠損により増加していた。一方、摂食量について野生型マウスとMagEx欠損マウスとの間で有意な差は見受けられなかった。これらの実験結果より、MagEx欠損マウスでは腸からのマグネシウム吸収能が低下しており、MagExが生体内へのマグネシウムの吸収に重要な役割を果たしているが強く示唆された。また、MagEx欠損マウスでは尿中のマグネシウム量が顕著に低下していた。このことは、MagEx欠損マウスが腸からのマグネシウム吸収が抑えられているにも関わらず生存できている理由として、腎臓からのマグネシウム再吸収を活性化し、尿からのマグネシウムの排泄を最小限に抑制するという、腎臓におけるマグネシウム恒常性維持機構を活用しているということが想起された。今後、この具体的な分子機序を明らかにすることで、生体におけるマグネシウム恒常性維持機構のまた新たな仕組みを解明できると期待される。
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Research Products
(5 results)