2012 Fiscal Year Research-status Report
ES細胞分化における概日リズム発生のエピジェネティック制御機構
Project/Area Number |
24657096
|
Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
土谷 佳樹 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (30456777)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | 概日リズム / ES細胞 |
Research Abstract |
本研究課題では、ES細胞分化誘導系を用いて哺乳類の概日リズム発生メカニズムを解析し、概日リズム形成メカニズムおよびリズム発振と細胞の分化状態、さらには細胞がん化との関連についての新たな知見を得ることを目的としている。これまでの研究から、ES細胞には概日リズムは観察されないが、分化過程において概日リズムが形成されることが分かっている。また、時計遺伝子Per2の発現量が分化の過程で上昇することも明らかとなっているが、その詳細なメカニズムは不明である。 本研究ではまず、分化過程における概日リズムの形成に時計遺伝子近傍のエピジェネティックな変化が重要であるかどうかを調べるために、分化前および分化誘導後28日目において時計遺伝子Per2の転写調節領域のエピジェネティック状態を調べた。その結果、未分化ES細胞と分化誘導後の細胞ではPer2転写調節領域のヒストン修飾状態に違いがあることが分かった。そこで、さまざまなヒストン修飾酵素の阻害剤を用いて未分化ES細胞におけるPer2の発現への影響を調べたところ、ある種の阻害剤によってPer2発現の上昇が見られた。このことは、未分化ES細胞におけるPer2発現の抑制にヒストン修飾が関与していることを示唆している。 また、ES分化の分化過程において恒常的に高発現させることで概日リズムの形成を阻害する因子を発見し、現在その因子が分化および時計遺伝子の発現にどのように関与しているのかなどについて引き続き解析を行なっている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
分化過程における概日リズム形成の解析に関連して、恒常的な高発現によってリズム形成を阻害する因子を新たに発見した。このため、当初の研究計画とは内容がやや変化しているが、本研究は分化過程における概日リズム形成機構の一旦を明らかにする可能性があり、本研究の研究目的である概日リズム形成と細胞分化との関連についての新しい知見を得ることが十分期待できると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
未分化ES細胞において概日リズムが観察されないことが、エピジェネティック制御によるPer2の発現抑制と関連しているのかどうか、さらに解析を行う。また、新たに同定した、恒常的な高発現によってリズム形成を阻害する因子についてさらなる解析を行う。具体的には、この因子の過剰発現による1細胞レベルでの概日リズムの有無を調べたり、この因子の恒常発現による分化への影響や、時計遺伝子の発現量などへの影響を分化過程を通じて詳細に調べる。これらの解析から、この因子の過剰発現がもたらすリズム形成異常の原因を明らかにし、概日リズム形成異常と細胞分化の関連についての新たな知見を得る。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
|