2012 Fiscal Year Research-status Report
小胞体トランスロコンでのタンパク質輸送の一分子解析
Project/Area Number |
24657106
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
阪口 雅郎 兵庫県立大学, 生命理学研究科, 教授 (30205736)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | シグナル配列 / 膜タンパク質 / 小胞体 |
Research Abstract |
小胞体トランスロコンを通した新生ポリペプチド鎖輸送の一分子観察を目指して、実験系の設定を進め下記の成果を得た。 【1】イヌ膵臓より調製した粗面小胞体を添加した、タンパク質合成・膜透過無細胞実験系を効率化した。【2】無細胞実験系によって、小胞体トランスロコンでの新生ポリペプチド鎖の膜透過に対して、コレステロールが多面的な阻害作用を示すことを明らかにした。リン脂質二重層に存在するコレステロールはシグナル配列によるトランスロコン標的化を部分的に抑制するばかりではなく、リボソームが小胞体に標的化した後にもトランスロコンでの正電荷の動きを抑制することを見出した。逆にポリペプチド鎖上の疎水性配列は動きが促進された。疎水性配列に対する動き促進作用は、コレステロールによるトランスロコンチャネルの横方向への開放の阻害と考えられた。一分子解析系の膜成分の最適化およびトランスロコンの機能調整機構について重要な知見である。【3】小胞体でのタンパク質膜透過に対して、負電荷リン脂質であるフォスファチジルセリン結合タンパク質ラクトアドヘリンが阻害作用を示すことを見出した。【4】小胞体におけるポリペプチド鎖の動きを解析する中で、膜結合リボソームが新生鎖を迅速に遊離するためには、伝令RNAの終止コドンの後方に10塩基以上のRNA配列が必要であることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
無細胞タンパク質合成系の合成効率を向上させ、コレステロール組成の効果を発見し、リボソームの作用に必要な伝令RNAの非翻訳領域の寄与を明らかにした。一方、一分子観察に必要な、新生ポリペプチド鎖の蛍光ラベル系の構築にまで到達できていない。蛍光ラベル産物の検出に不可欠な高感度検出装置が稼動し始めたが、蛍光ラベルを有する非天然アミノ酸を結合したtRNAの作成方策の策定に時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
蛍光ラベルされた非天然アミノ酸を有するtRNAの作成に集中的に取り組み、SDS-電気泳動後に蛍光分析装置で検出可能な量の新生鎖の合成条件を設定する。さらに、溶液条件とエバネッセント蛍光顕微鏡による固定場条件での検出条件を最適化する。さらに、小胞体でのポリペプチド鎖の輸送駆動要因解明に向けて小胞体内腔因子の同定と、一分子観察系による機能解析を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
無細胞タンパク質合成・膜透過実験、蛍光ラベルアミノ酸-tRNAの合成条件至適化のための物品の購入に充てる。
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[Journal Article] Tail-extension following the termination codon is critical for release of the nascent chain from membrane-bound ribosomes in a reticulocyte lysate cell-free system2013
Author(s)
Takahara, M., Sakaue, H., Onishi, Y., Yamagishi, M., Kida, Y., and Sakaguchi, M.
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Journal Title
Biochem. Biophys. Res. Commun.
Volume: 430
Pages: 567-572
DOI
Peer Reviewed
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