2013 Fiscal Year Research-status Report
蛋白質の速い揺らぎの検出と動的アロステリック効果の解明
Project/Area Number |
24657107
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
久保 稔 独立行政法人理化学研究所, 放射光科学総合研究センター, 研究員 (90392878)
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Keywords | 揺らぎ / タンパク質 / 生体分子分光 / フェムト秒レーザー / 低振動 |
Research Abstract |
本研究の目的は、蛋白質のアロステリック効果とゆらぎとの関係を明らかにすることである。本研究ではアロステリック蛋白質の代表であるヘモグロビン(Hb)を調べる。ヘムドーミングモードの振動コヒーレンス(振動数約50 cm-1)の緩和時間よりゆらぎを評価し、様々な酸素親和性を示すHbに対して、酸素親和性とゆらぎとの間の相関をプロットする。 本年度は、測定プログラムの開発を進めると同時に、6種の異なる条件でdeoxyHbの共鳴ラマン分光測定を行なった。6種の条件とは、(1) pH 7.0, (2) pH 8.5, (3) pH 7.0 + IHP(イノシトール6リン酸), (4) pH 7.0 + Cl-, (5) alpha-単離鎖, (6) beta-単離鎖であり、各条件で酸素親和性が異なる。deoxyHbに特徴的な振動モードにFe-His伸縮振動がある(ヘム鉄と軸配位子Hisとの間の結合の伸縮)。Fe-His伸縮振動の振動数は、蛋白部分からヘム鉄にかかる張力を反映し、酸素親和性と相関があることが知られている。本研究でも、上記6種のdeoxyHbについてその相関が確認された。さらに、条件(1)-(4)のdeoxyHbのFe-His伸縮振動バンドを詳細に解析したところ、バンドの低波数側(alpha鎖のヘム由来)と高波数側(beta鎖のヘム由来)が異なる挙動を示すことが明らかとなった。ただし、alpha鎖由来のシグナルとbeta鎖由来のシグナルは互いに近接しているため、それらを分割するfitting解析は困難であった。一般に振動バンドのバンド幅はゆらぎを反映するが、上記理由のためFe-His伸縮振動のバンド幅の評価までは行なえなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
振動コヒーレンスを測定する装置がまだ完成していないため。
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Strategy for Future Research Activity |
6種のdeoxyHbに対して振動コヒーレンス分光測定を行ない、酸素親和性とゆらぎとの相関を明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
消耗品の購入に充てる計画であるが、次年度予定の実験の直前に購入した方がよいため。 消耗品の購入に充てる計画である。
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Research Products
(1 results)