2013 Fiscal Year Annual Research Report
リボソームタンパク質による選択的スプライシング制御機構の解明
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24657116
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
黒柳 秀人 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 准教授 (30323702)
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Keywords | リボソームタンパク質 / mRNA前駆体 / 選択的スプライシング / 線虫 / 蛍光レポーター / 自己制御 / NMD |
Research Abstract |
哺乳類の培養細胞でリボソームタンパク質L10aをコードする内在性RPL10A遺伝子が非生産的mRNAアイソフォームを産生するか検出を試みた。非生産的mRNAの分解を抑制するためタンパク質合成阻害剤であるEmetineで培養細胞を処理して全RNAを調製し、RT-PCR法で解析した結果、RPL10A遺伝子が線虫rpl-1遺伝子と同様の選択的スプライシングにより非生産的mRNAアイソフォームを産生することが確認できた。 ヒトRPL10A遺伝子のゲノムDNA断片を用いてRPL10A選択的スプライシングレポーターミニ遺伝子を構築し、内在性RPL10A遺伝子と同様に、生産的スプライス部位または非生産的スプライス部位を使う2種類のmRNAアイソフォームが産生されることを確認した。また、L10aとの共発現実験により、このミニ遺伝子が、線虫のrpl-1遺伝子同様にL10aによる自己制御を受けることが確認された。さらに、L10aをコードする遺伝子のイントロンに進化的に保存されている約40塩基の領域がRPL10Aレポーターミニ遺伝子の選択的スプライシングの自己制御に必須であることを確認し、L10a制御エレメント(L10ARE)と命名した。 線虫のL10aであるRPL-1の選択的スプライシング制御の標的がrpl-1遺伝子の自己制御以外にも存在するかゲノムワイドに探索するため、rpl-1のノックダウンおよび対照としてrpl-26またはrpl-30のノックダウン線虫から全RNAを調製し、ポリA+ RNAを精製して大規模シーケンス解析を行った。その結果、これら3つのリボソームタンパク質のノックダウンで共通して変化する遺伝子発現の変化は見出されたが、これまでのところ、rpl-1ノックダウン特異的に変化するmRNAプロセシング事象は見つかっていない。 現在、これらの研究成果をまとめた論文を執筆中である。
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