2012 Fiscal Year Research-status Report
ベロ毒素によって損傷したリボソームを検知し分解する新規機構の解明
Project/Area Number |
24657117
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
北畠 真 京都大学, ウイルス研究所, 助教 (10321754)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | リボソーム |
Research Abstract |
出芽酵母のリボソーム品質管理機構の研究を行っている。本年度は計画どおり、SRLに変異を持つ25S rRNAを発現させるプラスミドを5000株の遺伝子破壊株に導入し、変異25S rRNAの分解が低下した株のスクリーニングを行った。得られた株については個別に培養して半減期を確かめ、最終的に分解に関与する数個の因子を同定することができた。 これらの因子の欠損株において、SRLの変異体および他の機能不全25S変異体(40S-60Sのブリッジ部位、ペプチジル基転移中心など)の発現と安定性の確認を行ったところ、これらの因子の一部は複数の機能不全25S rRNAの分解に共通して必要な因子であることが明らかになった。また、並行して、これまでに25S rRNAの分解に関与することが分かっているRNaseの欠損株における安定性も解析したが、SRL変異体は他の変異体と同様に、同じセットのRNaseによって分解されていることが明らかになってきた。このことは、本研究で行っているSRLに損傷のある25S rRNAの品質管理機構が、特殊なものではなく、広くさまざまな機能不全リボソームを認識し分解する、一般的な機構であるということを示唆している。 さらに本研究ではこれらの関与因子に対する動物細胞でのホモログも発見しており、現在、ノックダウンによる解析を行う準備を進めている。ベロ毒素を購入してリボソームを傷害する系において、これらのノックダウンが与える影響が損傷リボソームを安定化しないかどうか、検証したい。また関与する因子の中には信号伝達に重要なリン酸化酵素が含まれていることから、損傷リボソームの存在が細胞内でどのようなシグナルを誘導するのかについても詳しく調べる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、初年度に出芽酵母の系を用いてSRL変異を持つリボソームRNAを分解する機構を解明する予定である。得られた情報を基にして二年目に動物細胞の系を用いて実際の毒素による損傷リボソームを研究することを計画している。 これまでにすでにSRL変異体を5000株の遺伝子破壊株にて発現させ、分解が遅延する変異株を分離することに成功している。現在のところこの因子の含まれるファミリーの遺伝子を破壊したり、既知の結合因子の関与などを確かめる実験を行っているところである。SRLに損傷が入った場合にこれらの信号伝達因子が働いて、損傷リボソームの除去を行う仕組みが明らかになりつつある。今後さらに詳しいメカニズムを解明すると同時に、動物細胞の実験を開始したい。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に得られた、SRL変異体を分解するのに必要な因子が、種を超えて保存されている重要な信号伝達経路に関わる因子であることから、まずこの経路の全体像を出芽酵母を用いてさらに解明することが必要だと考えられる。そのためにこの因子の結合因子、あるいは同じファミリーに属する因子などの破壊株を用いて、損傷リボソームRNAの安定性を精査し、さらには分解におけるユビキチン化の誘導の有無を確認したい。 また本研究では動物細胞に毒素を投与する系を立ち上げることを目的としているので、前述のメカニズム解明の進行状況を見ながら、動物細胞の実験系も早い時期に稼働させたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(6 results)