2014 Fiscal Year Annual Research Report
コアプロモーター認識因子の選択によるmRNA運命決定機構の解明
Project/Area Number |
24657119
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
古久保 哲朗 横浜市立大学, 生命医科学研究科, 教授 (10271587)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 転写調節 / 転写因子 / TFIID / SAGA / TBP / 局所翻訳制御 / 出芽酵母 / TAF |
Outline of Annual Research Achievements |
基本転写因子TFIIDはTATAボックス結合タンパク質(TBP)と14種類のTBP随伴タンパク質(TAF)から構成される巨大な複合体であり、SAGA(TFIID類縁複合体)とともにコアプロモーター上で働き、TBP-DNA相互作用を制御することによって転写の活性化を行う。最近我々は、同一のプロモーターからTFIIDまたはSAGAによって転写されるCLN2 mRNA(以下CLN2 mRNA[TFIID] or [SAGA])が機能の異なる二種類のCln2pに翻訳される可能性を示した。またCLN2 mRNA[SAGA]は、RNA結合タンパク質の一種であるSsd1p依存的に転写され、分解から保護されるとともに、RAMシグナル経路による局所翻訳制御を受けること(仮説*)を示唆する結果を得た。 昨年度までに、①TFIID内部のTBP制御領域であるTANDの欠失変異(taf1-deltaTAND)がRAMシグナル経路の各種変異に対して特異的な合成致死性を示すこと、②Ssd1p依存的に分解から保護される安定化型のCLN2 mRNA[SAGA]量がtaf1-deltaTAND株において有意に増加することを明らかにした。さらに海外のグループとの共同研究により、③TAND1-TAND2-TBP複合体の構造を決定することにも成功した。 今年度はRAMシグナル経路の最終エフェクターキナーゼであるCbk1pの活性を自在に制御し得るcbk1-as2株を作製し、1-NA-PP1(Cbk1p[as2]に対する特異的な阻害剤)存在下において安定化型のCLN2 mRNA[SAGA]量が顕著に増加すること、逆にcbk1-S745F株(constitutive active型の変異株)では有意に低下することを示した。以上の結果は、上記の仮説*を強く支持するものであり、大変興味深い。
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