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2012 Fiscal Year Research-status Report

線虫の高次生命現象に影響を与えるアンチセンス転写物の検索

Research Project

Project/Area Number 24657121
Research InstitutionRitsumeikan University

Principal Investigator

西澤 幹雄  立命館大学, 生命科学部, 教授 (40192687)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 奥山 哲矢  立命館大学, 立命館グローバ ル・イノベーション研究機構, ポストドクトラルフェロー (80614966)
Project Period (FY) 2012-04-01 – 2014-03-31
KeywordsRNA / アンチセンス転写物
Research Abstract

発生に関わる重要な細胞間シグナル伝達経路であるNotchシグナル経路は多くの動物で保存されており、この経路を構成するNotchおよびDeltaの2つの膜タンパク質が細胞間で結合することで情報が伝達される。モデルケースとして、線虫Notch経路の遺伝子についてアンチセンス転写物(asRNA)の有無を調べた結果、Deltaの線虫ホモログであるlag-2遺伝子にasRNAが存在することがわかった。発生におけるlag-2 asRNAの発現パターンを調べて、lag-2遺伝子に対する機能を解析することで、lag-2 asRNAの発生における意義を明らかにすることが可能である。
また私たちは機能性食品AHCCが、哺乳類で転写因子NF-κBのmRNAおよびasRNAの発現に影響することを報告している。AHCCを線虫に与えたところ、寿命が延長され、熱耐性も向上させることを発見した。AHCCを与えた線虫では、heat shock protein(hsp)遺伝子の発現誘導に関わる熱ショック転写因子hsf-1の発現が増加して、さらにhsf-1 asRNAが存在することも見出した。AHCCによってasRNAの発現が増加するので、hsf-1 asRNAはストレス耐性・寿命制御に影響する可能性が考えられる。
一方、線虫のasRNA発現ライブラリーを作製するため、野生型の初期胚からtotal RNAを抽出した。Total RNAからリボソームRNAを除去し、cDNAを作成した。Gatewayプラスミドを別途作製し、cDNAを逆向きにして組換えたライブラリーを作製したが、大腸菌に形質転換したクローンサイズは十分ではなかった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

線虫のasRNA発現ライブラリーを作製するため、野生型の初期胚からtotal RNAを抽出した。Total RNAからリボソームRNAを除去してcDNAを作成したが、cDNA合成量が少なかった。原因の一つには、total RNA量が少なかった可能性が考えられる。初期胚は殻に覆われているため、殻を壊し胚をつぶした後にRNAを抽出する必要があり、他の発生段階よりもRNA抽出は困難である。そのため、線虫をさらに多量に繁殖させ初期胚を多量に得て、多量のtotal RNAを確保することを試みる必要がある。また同時に、初期胚以降の発生段階、たとえば生殖腺が十分に成長し卵母細胞・未受精卵を多く抱えるadult期の線虫からもRNAを抽出することを検討する予定である。生殖腺では多くの母性因子となる遺伝子が発現していると考えられ、初期胚発生に重要な影響を与える遺伝子のasRNAを見出せる可能性がある。
二つ目に、total RNA中のmRNA(リボソームRNA以外のRNA)の含量が予想外に低く、そのため実際に合成されるcDNA量が少なかったことも原因と思われる。
さらにGatewayプラスミドを別途作製し、合成したcDNAを逆向きにして組換えたライブラリーを作製したが、大腸菌に形質転換したコロニー(クローン)数は予想よりかなり少なかった。全部のmRNAの3'非翻訳領域を含んで、その相補鎖(すなわちasRNA)を発現させるためには、ある程度、大きなクローン数が必要で、おそらく数万個のコロニーが必要と思われる。そのため、より多くのRNAを用いるのみならず、アプタマー配列を除いて単純化したGatewayプラスミドを作製する必要があるかもしれない。これらを改善すれば、さらにクローンサイズが大きくなると思われる。

Strategy for Future Research Activity

モデルケースのlag-2とhsf-1については既にasRNAを見出しているので、発現ライブラリーから相当するクローンを見出し、線虫の表現型解析を行う。ライブラリーから見出せない場合にはPCR法でcDNAを単離して、asRNA発現ベクターを作製する。lag-2遺伝子については、初期胚発生、神経発生、産卵口形成および生殖細胞の運命決定などの表現型を解析する。またhsf-1遺伝子は大腸菌に発現させたasRNAを摂取させ、寿命測定や熱耐性への影響を検討する。hsf-1の標的であるhsp遺伝子のasRNAの存在を確かめて、その表現型を解析する。
十分に大きなクローンサイズのasRNA発現ライブラリーを得ること課題であるので、線虫をさらに多量に繁殖させ、初期胚を多量に得ることで多量のtotal RNAを確保する。多量のtotal RNAを得ることにより、mRNA含量の低さも無視することができる。また同時にadult期の線虫からもtotal RNAを抽出する。これらのtotal RNAを用いて十分な量のcDNAを合成し、ライブラリーを作製する。またアプタマー配列を除いて単純化して組換え効率のよいGatewayプラスミドを作製することも検討し、さらにクローンサイズを大きくする。
作製したasRNA発現ライブラリーを用いて、RNAを大腸菌に発現させる。Feeding法によってRNAを線虫に導入し、発生や行動等の表現型について観察して異常を見いだす。行動異常は運動停止や不規則な動きについて、発生異常は発生の遅延や停止について、または産卵口形成などの器官形成の異常について検討する。スクリーニングにより、表現型を変化させるクローンを同定する。次に同定した遺伝子について遺伝学的解析により観察された表現型が遺伝子の機能を反映したものか確かめる。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

該当なし

  • Research Products

    (2 results)

All 2013 2012

All Presentation (2 results)

  • [Presentation] Effects of Active Hexose Correlated Compound on Lifespan and Stress Resistance of C. elegans2013

    • Author(s)
      Tetsuya Okuyama, Emi Yoshigai, Yukinobu Ikeya, Mikio Nishizawa
    • Organizer
      American Society for Parenteral and Enteral Nutrition (ASPEN) Clinical Nutrition Week 2013
    • Place of Presentation
      Phoenix, USA
    • Year and Date
      20130210-20130211
  • [Presentation] 線虫C. elegansの寿命およびラット肝細胞の一酸化窒素産生に与える AHCCの影響の比較解析2012

    • Author(s)
      奥山 哲矢、吉開 会美、奥村 忠芳、池谷 幸信、西澤 幹雄
    • Organizer
      第20回統合医療機能性食品国際会議(ICNIM 2012)
    • Place of Presentation
      ホテルロイトン札幌、北海道
    • Year and Date
      20120721-20120722

URL: 

Published: 2014-07-24  

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