2013 Fiscal Year Annual Research Report
線虫の高次生命現象に影響を与えるアンチセンス転写物の検索
Project/Area Number |
24657121
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
西澤 幹雄 立命館大学, 生命科学部, 教授 (40192687)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥山 哲矢 立命館大学, 理工学研究科, 研究員 (80614966)
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Keywords | アンチセンス転写物 / RNA / 線虫 |
Research Abstract |
アンチセンス転写物(AS転写物)はmRNAと相補的な配列を持つ、タンパク質をコードしないRNAであり、mRNAの安定性調節に関与している。しかし、AS転写物が個体レベルの高次生命現象にどのような影響を与えるかはほとんど不明であった。モデル生物の線虫は個体レベルの解析に適している。初年度(平成24年度)にはNotchシグナル経路の構成因子lag-2や、熱耐性に関わる熱ショック転写因子hsf-1のAS転写物の検出に成功した。平成25年度には、RNA-seq法によって線虫の全転写物の配列を解読して、lag-2遺伝子およびhsf-1遺伝子のAS転写物が実際に合成されていることを再確認することができた。 mRNAの3’非翻訳領域(3’UTR)には、AS転写物と相互作用する配列の存在が予想されている。そこで、本研究では3’UTRを組み込んだ大腸菌発現プラスミドのライブラリーを構築した。平成25年度には3’UTRに相補的なRNAを合成して線虫に導入することによって、発生や稔性などにおいて表現型が現れるか網羅的に検討した。解析したプラスミドクローンのうち、約2%で線虫の成長遅延または不妊の表現型が観察された。発生などに影響を与えるクローンが比較的多いことが考えられ、本方法は発生に関与するAS転写物を同定できることを示唆している。成長遅延が観察されたクローンには、リボソームタンパク質をコードする遺伝子の配列の一部を含むものも見出された。表現型が観察された線虫を解析する本研究の方法論は、機能的なAS転写物を同定解析する基盤になると考えられる。
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Research Products
(5 results)