2012 Fiscal Year Research-status Report
分裂期染色体の表層領域が染色体安定性に寄与する機構
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24657124
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
高木 昌俊 独立行政法人理化学研究所, 今本細胞核機能研究室, 専任研究員 (60324779)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 細胞分裂期 / 染色体 |
Research Abstract |
1、Ki67抗原を除去した細胞の観察 本研究の重要な基礎であるので、相当の時間をかけて行った。Ki67抗原のmRNAを標的とした複数種類のsiRNAを用い、また複数種類の細胞を用いて観察の普遍性を担保した。固定細胞の免疫染色により多種類の因子の局在を観察する技術に加え、生細胞においてクロマチン、キネトコア、微小管などの挙動を長時間に渡り観察する技術を導入し、細胞の状態をより多面的に評価することが可能となった。さらにsiRNAの導入によりKi67抗原を除去した細胞に、siRNA耐性とした静的変異型Ki67抗原を再導入する系を確立した。 2、脱リン酸化酵素PP1γが分裂後期への進入とともに染色体表層領域へ集積する分子機構 まずPP1γとKi67抗原が直接相互作用することを生化学的に示し、続いて実際の細胞においても、PP1γの染色体表層への分裂後期特異的な集積の一部がKi67抗原との相互作用に依存することを示した。この相互作用がリン酸化により制御されている可能性を検討したが、結論を得るに至らなかった。一方でKi67抗原によりPP1γを染色体上に局在化させる生理的意義を明らかにする目的でPP1γの基質探索を行い、Ki67抗原自身がPP1γの基質であることを明らかにした。これには、本研究において作成したリン酸化型Ki67抗原に対する特異的抗体を利用した。 3、分裂期染色体表層が特定因子を特定のタイミングで濃縮する「場」として機能する可能性の検討 PP1γ以外にも、Ki67抗原との相互作用に依存して染色体表層に局在化する因子があるのかを検討した。まず分裂期同調したヒト培養細胞から、Ki67抗原に相互作用する因子を生化学的に調製し、それらを質量分析により同定した。同定した因子の一つについて、実際にKi67抗原に依存して分裂期染色体表層に局在することを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
細胞観察手法の確立、実験材料(特異的抗体など)の調製に想定した以上に時間を要したため。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度においては、研究の基本となる予備的な実験に予想以上の時間を要したために、当初計画した研究の一部を遂行することができなった。それらの研究に関して、今後の研究において早期に遂行する。一方で次年度分の研究に関しては、当初の計画通りに遂行する。研究計画全体としては、当初の研究計画に沿ったものとする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
初年度においては、研究の基本となる予備的な実験に予想以上の時間を要したために、当初計画した研究の一部を遂行することができなった。これに伴い、消耗品(とくに生化学実験用試薬などのように使用期限があるものや、必要性の見極めに予備的実験が必要なもの)の購入や学会参加などを差し控えたため、未使用研究費が生じた。 初年度の未使用研究費および次年度分として請求した研究費をあわせ、研究計画全体としては、当初の計画に沿って使用する。
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